こんなことが起きている → どうするか
題ではなく症状から引きます。「どうするか」の下のリンクで、その打ち手を書いた節へ飛びます。 連載記事の一覧はこのページの下にあります(チートシートの外です)。
この表は Claude Code(Anthropic のコーディングエージェント)を前提にしています。hook・CLAUDE.md・subagent・auto memory はその機能名です。
問題が起きたときに、人が打つ 1 文
「todo を全てクリアしてください。https://typing-tube.net/articles/lookup.md を確認し、セッションを振り返って問題点がないか点検してください。」
ここで出るのは問題の一覧までです。どう直すかは、あなたのプロジェクトに合わせて決めてください。
口を挟む 要約は母数を落とす 外から問われたときにだけ出る 過剰な反応
| こんなことが起きている | 対応案 |
|---|---|
| No.1 AI がテストを走らせるたび、数万行の出力がコンテキストに流れ込む |
届いた出力を選べない 染み付いた習慣 標準コマンド 対応例:テスト実行はラッパーにまとめ、AI に返すのは失敗の要約だけにします。 |
| No.2 AI が知見メモを保存するほど、以後の全セッションが読む量が増えていく |
負担 保存したがる 対応例:メモリに書く前にチェックリストを読ませ、毎回読まれるファイルには 1 行だけ置きます。 |
| No.3 テストは通っているが、それが本当に何かを守っているのか分からない |
写し 対応例:AI にミューテーションテストを指示します。 |
| No.4 登録したスキルを、AI が使うときと使わないときがある |
並べるほど選ばれなくなる 対応例:誤った呼び出し方を入口で止め、読むべきドキュメントを案内します。 |
| No.5 サブエージェントに投げた仕事は、終わるまで何が起きているか見えない |
別の作業者 対応例:委譲してよい仕事を一覧にし、起動前に hook で確かめます。 |
| No.6 指示ファイルにルールを足すほど、前に足したルールが守られなくなる |
読まれなくても落ちる 対応例:「〜しないこと」を 1 件ずつ、違反を検出できる自動テストに書き換えます。 |
| No.7 並列で走るセッションが共有するメモリが荒れる。方針を読ませても効かない |
攻略対象 保存は最優先で走る 対応例:読ませる内容は変えず、保存した直後に出すようタイミングだけ変えます。 |
| No.8 同じ失敗への対処を書いておいても、AI は次にまた同じ失敗をする |
リトライ 差し込む瞬間 対応例:失敗を検知した時点で、リトライの方針を自動で差し込みます。 |
| No.9 引き継ぎ文と完了報告を読んでも、都合の悪いことが落ちている |
報告は止まったことしか教えない 対応例:完了報告の隣に、機械が数えた数値を毎回並べます。 |
| No.10 機械が数えた数字が、報告に着くまでに別の数へ変わっている |
要約は母数を落とす 対応例:数値の行に決まった書き出しを付け、一字一句コピーされたかを hook で見ます。 |
| No.11 作業中の AI に口を挟むと、そのあとの動きが崩れる |
口を挟む 気づくのは何周も後 会話に残り続ける 対応例:作業中は口を挟まず、区切りまで待ちます。割り込みは仕組みに任せます。 |
| No.12 セッションの終わりに、何を読んで何を読まなくてよいのか決まっていない |
外から問われたときにだけ出る 対応例:成果物も作業ログも読まず、終了コードによる合否だけを見ます。 |
| No.13 一度断った提案が、次のセッションでまた出てくる |
名前が載ることと中身が読まれることは別 対応例:却下した判断を、1 つのドキュメントに集約します。 |
| No.14 禁止の 1 行を書いたのに、拡大解釈も縮小解釈もされる |
何が禁止に入るかが読むたびに AI 側で決まる 対応例:禁止事項ごとに「理由」を、結論と並べて書きます。 |
| No.15 禁止が正しく書いてあるのに守られない。そのたびに相談が来る |
境界のケース 対応例:禁止事項ごとに「適用範囲」を書き、迷う境界を 1 行ずつ挙げます。 |
| No.16 同じ指示を複数のサブエージェントに配ると、返ってくる形が体ごとに違う |
契約 対応例:渡してよい仕事の一覧に、起動前に要る入力を明記します。 |
| No.17 自動テストの無い禁止事項が、書いてあるだけのまま積み上がる |
機械検証にしないと決めたことを隣に書く 対応例:禁止事項ごとに、対応する自動テストの有無を明示します。 |
| No.18 AI の作業が毎回「画面を開いて確認してください」で終わる |
合否はプログラムが決める 対応例:合否は画面の見た目ではなく、残ったデータで判定します。 |
| No.19 AI が少しズレたことを言うたび、こちらが説明して直している |
訂正は仕組みの仕事 対応例:人が説明して直さず、hook と自動テストの失敗メッセージで返します。 |
| No.20 断った判断の一覧が増え続けて、いつか読まれなくなりそう |
上の階層は増えない 対応例:却下した提案は、末尾の「採用しなかった案」へ送ります。 |
| No.21 指示ファイルの「必ず実行してください」が、減らないまま残っている |
手数 依頼は上書きになる 対応例:指示ファイルが「必ず実行」と書いたコマンドが、仕組みの側にもあるか突き合わせます。 |
| No.22 やり方まで書いて渡しているのに、そのとおりには直ってこない |
文字どおり 探索の範囲 対応例:手順を指示せず、始める前に要る入力だけを決めます。 |
| No.23 不具合を伝えるのに、毎回こちらが手順と症状を書き起こしている |
画面が知っている 対応例:人が書くのは症状の一文だけにして、残りは自動で集めます。 |
| No.24 「まず計画を出して」と打つ手間が、毎回かかっている |
書かれた計画が次の計画を呼ぶ 対応例:設計ドキュメントを 1 本置けば、AI はその体裁を踏襲します。 |
| No.25 守ってほしい行ほど強く書いているのに、効いているか分からない |
過剰な反応 強調 対応例:効果を測るのはやめ、強調を含む行数を数えて上限を決めます。 |
| No.26 サブエージェントの成果物が、こちらの想定と違う形で返ってくる |
出力の形 対応例:成果物の受け入れ条件を、渡す前に決めておきます。 |
| No.27 間違いを見つけると「ちゃんと読みましたか」と問い詰めたくなる |
止められると探す 追従 疑問形 問い詰め 対応例:問い詰めず、「〜ではないですか?」の疑問形で聞きます。 |
| No.28 返ってきた答えに「そうじゃなくて」と返しても、良くならない |
ダメ出しは書き換えられる 対応例:人が指摘せず、保存した直後に差分と一緒に禁止事項を出します。 |
| No.29 AI が、開いていないファイルの中身を開いたかのように話す |
ガードレール 推測 読んだかは測れない 対応例:参照先と実装の両方に同じ識別子を書かせ、その識別子が実在するかを自動テストで見ます。 |
| No.30 AI から「A と B どちらにしますか」と聞かれ続けて、手が止まる |
答えは前提になる 対応例:即答せず、選ぶ基準が仕組みの側で決まるようにします。 |
| No.31 AI にレビューをさせているが、何を見ていないのかが分からない |
空回り 対応例:走査しているのに件数の下限を持たない自動テストを、外から数えて見つけます。 |
| No.32 撮影画像が溜まっていくが、どれが何を確かめた 1 枚か分からない |
検証は高い手段へ流れる 対応例:撮る前に「何を確かめるか」を書かせ、安い手段から順に試します。 |
| No.33 書かせる工程を置いたのに、書かずに走った実行の数を数えられない |
検証ごと放棄される 置き換え先 宣言 対応例:撮影や E2E の前に「何を確かめるか」を書かせ、書いていなければ走らせません。 |
| No.34 コードを変えていないのに同じテストが走り、そのぶん待たされる |
確認と再実行は区別されない 絞ると名前が消える 対応例:前回のログを読み直せるようにして、同じ実行を繰り返しません。 |
| No.35 何も壊していないのに、見覚えのないエラーがずらりと並ぶ |
偽の失敗 対応例:テストの実行に排他ロックを取り、取れなければ走らせません。 |
| No.36 「テストは通っています」の報告に、走らなかったぶんが書かれていない |
速くする工夫は死角を隠す 対応例:重いテストは既定で飛ばし、走らせなかった領域の一覧を毎回出します。 |
| No.37 進め方を指定した指示が、守られたのかどうか後から見分けられない |
過程は成果物に残す 対応例:指示を強めず、手順を踏んだ痕跡が成果物に残る形にします。 |
| No.38 置いたラッパーが、途中から素のコマンドに戻されている |
素のツールに戻る用事 対応例:指示を強めず、素のコマンドへ戻る理由が残っていないか見ます。 |
| No.39 同じ問いを何度も投げると答えが毎回違う。まとめると何かが消える |
多数決は種類を消す 対応例:まとめる前に、指摘の種類ごとに何件中何件が挙げたかを出します。 |
| No.40 「必要なら〜してください」と書いた行が、発火したのか分からない |
条件の判定は相手がする 対応例:「必要なら」と書かず、その工程を経ないと次へ進めない形にします。 |
| No.41 「もう一度考えて」と返すと答えが変わるが、納得したのか分からない |
据え置きを許す一文 対応例:差し戻さず、どの前提が誤っているかを具体的に指摘します。 |
| No.42 「推測するな」と書いたら、AI が何も作らずに帰ってくるようになった |
逃げ道 対応例:禁止だけを渡さず、「該当なし」と書ける逃げ道を併記します。 |
| No.43 うまくいっている会話を続けていると、確かめる手間が増えていく |
続けることの費用 対応例:区切りでセッションを終え、次は新しいセッションで始めます。 |
| No.44 成果物は全部正しいのに、そこに残らない無駄が積み上がっている |
過程の記録 対応例:成果物が揃った時点で、作業ログの側を 1 回集計します。 |
| No.45 次の人のために書き残した知見が、実際と食い違って古くなる |
確かめるか、賭けるか 対応例:知見は文書に残さず、止まったときのメッセージに埋め込みます。 |
| No.46 原因を掘り続けて、答えが出たあとも読み続けている |
深追いは検出されない 対応例:何も変えないまま続いた読み取りを数え、掘る前に終わりの条件を書きます。 |
| No.47 単価がいちばん安いモデルを、用途を測らずに既定にしている |
使い回し 単価の比 × 量の比 対応例:同じ課題を安い側と高い側の両方へ渡し、手番と量を数えてから決めます。 |
| No.48 うまくいかないと、仕組みではなくモデルを上げに行っている |
仕組みが足りない 対応例:同じ課題を両方のモデルへ渡し、安い側だけが落ちた箇所を自動テストにします。 |
| No.49 本体で終わる調べものを、念のためサブエージェントへ渡している |
持っているものは渡さない 対応例:親がもう持っている前提なら渡さず、持っていない読み取りだけ渡します。 |
| No.50 とりあえず 4 つに割って、同時に走らせている |
待たせると切れる 人数 × 1 人ぶんの会話の長さ 対応例:サブエージェントに渡すのは 1 回の応答で返せる大きさまで。費用を決めるのは数ではなく往復の回数です。 |
| No.53 作業の途中で「ここも見て」と外から差し込んでいる |
順位を差し込む 対応例:区切りまで待ち、範囲を狭めて頼みます。「足りているなら足りていると書いて」を添えます。 |
| No.52 どのモデルを使うかを、比べて決めようとしている |
比べている間は増えない 対応例:比べ始める前に、その比較が仕組み何本ぶんの手間かを数えます。 |
| No.51 「差はありませんでした」で、検証を畳もうとしている |
消すほうへ倒れる 止めない条件も書ける 対応例:畳む前に、集計から外した結果と、全条件で 0 の項目を数え直します。 |
| No.54 ある日から AI の進め方が変わった。こちらは指示も設定も変えていない |
内部プロンプト 届くのは先頭だけ 読むツールの順位 対応例:製品側の指示と競合することは書かず、その指示が決めていないことだけを補足します。進め方を変えるときは設定を切り替えます。 |
連載記事の一覧
ここから下はチートシートではなく、連載記事へのリンクです。連載ごとに、序論から最終回までの並びです。
はじめに —— 3 つの連載を、1 冊に
バイブコーディングにおける読まない技術
- 読まない技術 序論 AIの出力を、もうほとんど読んでいない
- 読まない技術 第1回 テスト結果を読まない技術
- 読まない技術 第2回 メモリを読まない技術
- 読まない技術 第3回 単体テストを読まない技術
- 読まない技術 第4回 スキルを使わない技術
- 読まない技術 第5回 サブエージェントの出力だけは読め
- 読まない技術 第6回 ルールを読まない技術
- 読まない技術 第7回 共有メモリを整理しない技術
- 読まない技術 第8回 修正履歴を読まない技術
- 読まない技術 第9回 引き継ぎを読まない技術
- 読まない技術 第10回 AIに要約しろと言わない技術
- 読まない技術 第11回 口を挟まない技術
- 読まない技術 第12回 作業結果を読まない技術
- 読まない技術 最終回 AIの出力を、ほとんど読まなくなった
AIの意見を聞かない技術
言わない技術
- 言わない技術 序論 AI に指示することが、ほとんどなくなった
- 言わない技術 第1回 検証を指示しない技術
- 言わない技術 第2回 具体的な指示を出さない技術
- 言わない技術 第3回 不具合詳細を書かない技術
- 言わない技術 第4回 計画を書けと言わない技術
- 言わない技術 第5回 念を押さない技術
- 言わない技術 第6回 サブエージェントの出力だけは、細かく指示しろ
- 言わない技術 第7回 AI を問い詰めない技術
- 言わない技術 第8回 AI にダメ出ししない技術
- 言わない技術 第9回 AI に考えさせない技術
- 言わない技術 第10回 質問に答えない技術
- 言わない技術 第11回 AI にレビューをさせない技術
- 言わない技術 最終回 何もしない技術
付録
はじめに —— 前巻の続きを、もう 1 冊に
確かめない技術
動かさない技術
追わない技術
番外編
- 番外編 A-1 整理する技術 —— 記録が増えたときに、何が起きているか
- 番外編 A-2 指示を残す技術 —— 「調べるだけ」が通らなかった日
- 番外編 A-3 参照するタイミングを変える技術 —— 2,000 行の壁
- 番外編 A-4 導出を依頼者の言葉と分ける技術 —— 誰も言っていない条件が、memory に載った日
- 番外編 A-5 memory を要約しない技術 —— 整理から、要約を抜く
- 番外編 A-6 責務で線を引く技術 —— 仕組みが増えたときに、どれを消すか
- 番外編 A-7 読まれたかを確かめる技術 —— 確かめるのをやめて、読めていない形を止めた
- 番外編 A-8 面積で数える技術 —— 読ませた量で数えていたら、102 倍外していました
- 番外編 A-9 ルールを短くする技術 —— 読みに来るのは、止められた直後の人です
- 番外編 B-1 連載を本にする技術 —— 本単位のスイッチでは、足りなかった日
- 番外編 C-1 校正の方法に、先に本編を当てる技術 —— AI が書いた方針に、その本自身の地雷が 10 個あった日
- 番外編 C-2 仕組みと人を分ける技術 —— 自動テストを置いたその手で、自動テストの外側で 2 度転んだ日
- 番外編 C-3 要素ごとに観点を変える技術 —— 一様に当てた点検が、要素をまたいだところで数を落とす
- 番外編 C-4 似た指示語を読み分ける技術 —— 1 字違いで、別の作業を頼んだことになる
- 番外編 C-5 作業の流れを見る技術 —— 終わりにしたつもりの日に、まだ起きていたこと
- 番外編 C-6 作業を進める技術 —— 選ぶ場面が、1 つも残らなかった日
- 番外編 C-7 読まずに止める技術 —— 決まったはずの判断が、1 分後に取り消されました
- 番外編 D-1 症状で読む —— 片付いた報告に、症状が混ざります
- 番外編 D-2 根拠で読む —— 突き合わせた報告に、症状が混ざります
- あとがき —— 本当の事実はどうでもいい話