私はもう、新しいモデルにも、増えた体制にも振り回されていません。最後まで見ていたのは、出したぶんのほうが高くつくという 1 つの単位だけでした。連載「追わない技術」は、その状態を仕組み一つずつで作ってきた記録で、この記事が最終回です。そして連載はここで終わるので、6 作を通しての最後の 1 本でもあります。

白状することが一つあります。

いちばんあなたを振り回してきたのは、この連載です

AI でも、新しいモデルでもありません。6 作かけて、私はあなたを 3 つの装置で引っぱり続けました。

① 題が嘘だと、あとから明かしました

2 作目の最終回には「タイトルは嘘です」と書いてあります。3 作目の第 11 回は「このタイトルで、記事は書けませんでした」で始まります。1 作目の最終回は「私は同じ嘘を何度もつきました」です。

どれも、その回を最後まで読んだ人にしか届きません。

② 次回予告で、答えを持たせずに次へ送りました

予告のパターンは 6 作とも同じです。次の回の結論を先に言い切り、どうやってかは書かない。

読者は毎回、逆転だけを渡されて次へ送られていました。

③ 白状してから、前提をひっくり返しました

「私は、実はたくさん指示します」(3 作目の最終回)。「私は、5 回とも確かめています」(4 作目の最終回)。「私は、9 回とも実験しています」(5 作目の最終回)。

作の終わりに置いたものは、その作を全部読んだあとにしか届きません。この作では、各回の頭にも置きました(第 2 回・第 7 回・第 8 回)。

数えました

記事そのものから数え直しました。

[observed] 対象: 64 本
[observed] 振り回した装置: 予告 60 本 / 白状 9 箇所 / 「タイトルは嘘」3 本

数え方はスクリプトに固定してあります(行の先頭が「次回」か「次の連載」で始まる段落 / 「白状することが」ほか 4 つの言い方 / 「タイトルは嘘」ほか 2 つ。どれも 1 本につき 1 件)。この回自身は数えていません。並べ直すために引用した分まで数えると、書くほど増えるからです。

予告 60 本のうち、どうやってかを書いたものは 1 本もありません。これが 6 作ぶんの引っぱりの総量です。

そして、あなたはそれに振り回されました。

私も振り回されました。——題を先に決めたせいで、実測が題に合わなかった回があります。そのときは題ではなく、本文に「外れた」と書きました。

6 作でしなくなったこと

作消したもの消し方
1 読まないAI の出力読まなくて済む形にした
2 聞かないAI の提案・判断二度検討しなくて済む形にした
3 言わない人間の入力言わなくて済む形にした
4 確かめない確認そのものその場で決めなくて済む形にした
5 動かさない知るための実行答えの分かっている問題に置き換えた
⭐ 6 追わないどれを使うかの判断どこにいくらかかるかだけを見る形にした

6 つとも、作の題は「自分がやること」の否定です。回の題には「させない」も 2 つありますが(途中でレビューさせない / 諦めさせない)、あれは私が差し込まない・私が畳まない、という話でした。この最終回だけが違います。——「振り回されない」は、外から来るものへの反応の否定です。

これはパターンを外したのではありません。順番がそうなっただけです。——自分の行為を 6 つ消したら、外から振り回される先が無くなりました。

振り回されても、置いたものは残ります

ここが「振り回されない技術」の実体です。振り回されない人になる話ではありません。

私は 6 作ぶん振り回されています。題に振り回され、予告に振り回され、自分が出した数字にも振り回されました。3 度は「差はありませんでした」で畳もうとして、3 度ともひっくり返っています。

それでも、置いた仕組みは 1 本も減っていません。

振り回されると置いた仕組みは
⚠️ 題が嘘だった読み直すことになる⭐ そのまま動いている
⚠️ 予告に引っぱられた次の回まで待つことになる⭐ そのまま動いている
⚠️ 新しいモデルが出た乗り換えを考えることになる⭐ どちらのモデルでも同じところで落ちる

⭐⭐⭐ 振り回されないというのは、動じないことではありません。 振り回されている間も、置いたものが動き続けているという意味です。

だから持って帰るものは、私の結論ではありません。各回の末尾に置いた手順と、それで出たあなたの数のほうです。

1 作目の最終回に、答えは書いてありました

1 作目の最終回に、こう印刷してあります。

「読まない」技術は、この構造を踏まえた上で成り立ちます。AI の出力を読んで、そこに書かれたことに振り回される——足りないと言われればルールを足し、失敗したと言われれば読み直す——のではなく、決める瞬間に何が届くかを変える。

「振り回される」は、1 作目の最終回が既に否定の対象として名指ししていました。私はそれを、6 作かけて 1 つずつ消していただけです。

決める瞬間に何が届くかを変える。——6 作の全部が、この 1 行の言い換えでした。

結論

6 作で消したのは、6 つの行為です。残ったのは、置いた仕組みと、それが出す数だけです。

私はまだ振り回されます。新しいものが出れば見ますし、数字が思ったのと違えば戸惑います。違うのは、そのあいだ手が止まらなくなったことです。

そして、この連載にも振り回されないでください。

ここに書いた数は全部、私の環境の、私の課題の、私の母数のものです。

あなたの数は、あなたが数えるまで分かりません。

手順は、全部の回の末尾に置いてあります。