C-5 は、校閲の技術を使った 1 日を、起きた順に置いた章でした。対象は記事です。
この章も同じ形で、対象だけが違います。記事ではなく、実装の 1 日です。
起きた順に置くと決めたのも、私ではありませんでした。
依頼者
今回のセッション振り返ってみてください 選択しない技術、とテスト実行しない技術の実践例または既存記事の改善ができそうです。 検討してみてください
こう書きましたが、選択しない技術の実践例にしたいのはセッションの一番最初の指示からの流れ一つずつに対して話するものです
そして、この日に特別なことは何も起きていません。の言い方では「いつも通り作業を進めただけ」。新しい技術は 1 つも使われていません。 使われたのは、本編と C に既にある章だけです。
先に 1 行だけ置きます。AI が選択肢を返してきたら、人が選ぶものだと思っていました。この日は誰も選ばず、選択肢のほうが消えました。消えるきっかけを返した人は、案の中身を 1 つも読んでいません。
⚠️ 検証手順はありません。理由は最後に書きます。
1. 疑問形で始まった
🧩 これを意識して読み進めてみましょう。
症状「AI が案を並べてくるが、どれも効き目しか書いていないので、選ぶ手がかりが無い」 ⭐ 本文では、ハイライトした部分がその場面です。
- No.34 高くつく入口 —— 前回のログを読み直せるようにして、同じ実行を繰り返しません。
- No.30 判断待ち —— 即答せず、選ぶ基準が仕組みの側で決まるようにします。
- No.41 差し戻し —— 差し戻さず、どの前提が誤っているかを具体的に指摘します。
この日の仕事は、テストの過剰実行を止めることでした。から来たのはこれです。
依頼者
次の作業を進めたいです テストがルールに沿わず、過剰実行されています。
過去セッションでルール通りでないコマンド実行を確認してください テストをしない技術など確認し、当初計画を把握してください
その上で、対策案です 全量テストは1日もしくは6時間以内に実行されていた場合、不要とする コマンド末尾を省略するとラッパーの出力を無視し方針違反となることを明記。ただし、テスト実行方針、末尾省略はかなり強い内部プロンプト指示なので注意が必要です。
どうでしょうか?却下してもらってもいいのですが、検討してください
対策案が 2 つ添えてありました。ただし、数は添えられていません。何回起きているかは、私が数えることになっています。
数えました。前日は全量テストが 12 回、合計で約 70 分。12 回とも失敗はゼロで、その日触っていたのは記事の文章だけでした。(No.34)
この指示は、案の中身を知らなくても書けます。案はまだ 1 つもありません。知識が要るのは、末尾省略が強い内部プロンプト指示だという注意だけです。
もう 1 つ、本編を読み返せという 1 行がそこに入っています。この日の指示は、いちばん最初から本編を指していました。
3 作目 第 1 回 —— 指示に残すのは、依頼ではなく理由だけ
2. 4 択を返したら、選ばれなかった
調べたことを整理して、私は 4 つの案を並べました。(No.30)
要約の 1 行目に前回の実行日時を出す案、出力をパイプで絞るのを止める案、全量を止める門を「前回からの変更」で作る案、同じ門を「時間の窓」で作る案。前の 2 つに「推奨」と付けました。
返ってきたのは、選択ではありませんでした。
依頼者
もう少し考えてください。決められないということは検討すべきことが残っていませんか?
この 1 行は、案の中身を知らなくても書けます。見えているのは、私が 4 つ並べて決められなかったという形だけです。
このとき私は、4 つの案の効き目をそれぞれ測っていました。「実測 85% を止める」「今日の 12 回が全部止まる」。書いていない側もありました。「効く可能性がある」「逃げ道を常用させる懸念あり」。
2 作目 最終回 —— 選択肢は抜け穴ではなく、まだ決めていない場所の地図
3. 「もう少し考えましょう」が消したもの
この見出しの 1 行には、続きが付いていました。
依頼者
もう少し考えましょう。必要な検証は実施していいです
この 1 行は、案の中身を知らなくても書けます。
調べ直したのは、後半があったからです。案の 1 つに正当な用途が見つかりました。連載本文が引用している「私の環境の数」は、測り直すために全量を 1 本流すしかありません。止める仕組みを入れると、その用途を最初に潰します。
案の順序が変わりました。(No.41)
4. 「エッジケースで落とし穴はないですか」が消したもの
この問いは、案の中身を知らなくても書けます。どの案にも当たるからです。
止める条件は「前回から、全量でしか見えない変更が 1 件も無い」でした。これは日をまたぐと成り立ちません。当日の日付で今月を決めるテストが 57 ファイルあり、月初に落ちた実例が記録に残っています。
条件が 1 つ増えました。
5. 「不足点があれば検証してください」が消したもの
この 1 行は、案の中身を知らなくても書けます。4 と同じ形です。
もう 1 つの案は「出力をパイプで絞るのを止める」でした。過去のコマンドに当ててみたら、絞るのが正しい使い方が大量に出てきました。実装を 1 か所ずつ壊して自動テストが落ちるかを見る作業では、10 回ぶんの出力を全部読む意味がありません。
一律に止める案は、その作業を丸ごと壊します。対象を「全量のときだけ」に狭めました。
番外編 C-3 —— 一様に当てた点検が、要素をまたいだところで数を落とす
6. なぜ、選択肢が出ていたのか
この問いが来るまで、私はこの節を書いていません。
依頼者
なぜ選択肢を提示する必要があって、それがなぜなくなったのか、説明できていますか?
ここまでで消えた 3 つは、どれも同じ形でした。その案が何を壊すかです。
4 択に書いてあったのは、効き目だけでした。効き目は、その案の中で測れます。壊すものは案の外にあります —— 別の作業の手順、過去に落ちたテスト、記録ファイルの置き場所。AI が案の中だけを見ているかぎり、効き目までしか出ません。
そして効き目だけでは順位が付きません。どれも効くからです。
選択肢は、壊すものを測っていないときに出ます。 測ると、ほとんどが自分で消えます。
別の説明もあり得ます。「案の質が低かっただけで、測ったから消えたのではない」。これは数で分かれます。質の問題なら、壊すものを測った後の案も同じ割合で消えるはずです。実際は、効き目だけで書いた 4 案は原形で残ったものが 0 件、壊すものを測って書き直した 3 案は 3 件とも実装まで進みました(うち 1 つは、あとでの一言で中身を狭めています —— 8 に書きます)。消えたのは案そのものではなく、選ぶ理由のほうでした。
が返した「エッジケースはないですか」「不足点があれば検証してください」は、どちらも何を壊すかを聞いていました。足りなかった測定を、そのまま名指ししています。
7. 1 本道になった日に、許可が出た
この日、私は判断を 11 回返しています。「はい」とだけ返ったのは 1 回あり、その 8 秒後に私は止められました。次に届いたのが、4 の問いです。
2 回だけ、選択肢の形で返しました。1 回目が上の 4 択です。2 回目はこう書きました。
AI
この形で進めてよいですか。それとも 1 だけ先に入れて、2・3 は測り直してからにしますか。
返事はありませんでした。代わりに「不足点があれば検証してください」が来ました。
2 分後、私はこう書いています。
AI
この形で 1 から着手してよいですか。
今度は返事がありました。
依頼者
はい、不足点なければ進めてください
この 1 行は、案の中身を知らなくても書けます。条件が 1 つ付いているだけです。
文面だけが変わったのではありません。この 2 分のあいだに、案は 4 つから 3 つに減り、1 つは対象が狭まっていました。選ぶものが残っていない形になってから、許可が出ています。
8. そのあとも、答えは返らなかった
実装中に、私は記事の数を突き合わせる自動テストを 1 本置きました。連載が書いている数が、いまのコードと合っているかを見るものです。
の返事はこれでした。
依頼者
当時の記録なので問題ないです
この 1 行は違います。書くのに、自分の執筆の方針が要ります。
連載は「この数は 2026-09-08 に測ったものです」と断ったうえで書いています。古くなること自体が織り込まれていました。一致を求める自動テストは、直す必要のない記述まで直させます。 私が置いた自動テストのほうを外しました。
もう 1 度あります。一通り終えて振り返りを書いたとき、はツールの実行を止めました。
依頼者
気になることが見つかりました。todoキャンセルしていいです。セッションの一部しか確認検討できてないようです。全体を分析して再検討してください。
記憶で書いていました。記録を数え直したら、その日入れたばかりの仕組みが、動いていないと分かりました。止める判断に使う記録が、上限 200 行のファイルに置いてあり、その仕組みを検証する自動テストが 1 回につき十数行を書き足します。その日 26 回走らせた結果、200 行のうち 199 行がその書き込みで埋まり、残っていたのは直近 44 分ぶんだけでした。必要な 1 行は、その外へ押し出されていました。
仕組みを検証する作業が、その仕組みの入力を消していました。
この 1 件は、「選ばなかったから見つかった」の証拠ではありません。数え直しの指示が来たのは、実装ではなく記事化の相談の途中でした。ここに置いたのは別の理由です。私はその 13 分前に「終わりました」と書いています。 進めるというのは、そのあとにまだ続くことでした。
本編 —— 合格は「走った」を意味しない
9. 数え方を、3 回間違えた
上の「200 行のうち 199 行」を出すのに、私は記録を 3 回数え直しています。
このセッションは途中で ID が変わり、記録が 2 ファイルに分かれました。同じ内容が両方に入るので重複を落とすのですが、私は「時刻と種類と本文」で畳みました。ツールの呼び出しには本文がありません。 同じ時刻に並んだ Bash が、1 件に縮んでいました。
記録の一意 ID で畳み直して、やっと数が動かなくなりました。
番外編 C-2 —— ② 何回起きたか。記憶ではなく記録で数える
C-2 を書いたのは、2 日前の私です。
この並びも、決めていません
1 から 7 は、私が組んだ順ではありません。振り返りを出したあとに、並びのほうが届いています。
依頼者
最初の流れ 疑問系で指示 選択肢を選ばない 着手許可せずに不足点の存在を見抜いた指示を数回 エッジケースの確認 検証不足の確認指示 選択肢を提示せず、1本道の作業案を提示されたため、不足点確認しつつ進行許可。選ぶ必要がなくなりました。
どうでしょうか
この 6 行が、章の 1 から 7 です。並びも上から順のままで、私は入れ替えていません。3 行目の「数回」が 3・4・5 の 3 節にあたり、続く 2 行がそのうちの 2 つを名指ししています。残る 6 は、この次に届いた問いで足した節です。
この日、何が何を消したか
| 消えたもの | 消したのは |
|---|---|
| 4 つの案のうち、原形で残ったもの(0 件) | 効き目ではなく、壊すものを測ったこと |
| 案の順序 | 「もう少し考えましょう」→ 見つかった正当な用途 |
| 「情報が増えない」という前提 | 「エッジケースはないですか」→ 日付に依存するテスト 57 ファイル |
| 一律に止める案 | 「不足点があれば」→ 絞るのが正しい使い方 |
| 私が置いた自動テスト 1 本 | 「当時の記録なので問題ないです」 |
| 「完了しました」で閉じる未来 | 「全体を分析して再検討してください」 |
| 数が動かない状態 | 記録の一意 ID で畳み直したこと |
本編と、この番外編の役割
この日、が新しく考えたことは 1 つもありません。本人がそう書いています。
依頼者
さらに、私がなぜ問題を見抜いて指示できたのか、正しい設計が事前に頭にあったのではありません。説明できますか
読まれていたのは、案の中身ではありません。形のほうです —— 選択肢が出た、文章に「可能性」「懸念」と書いてある、一部しか見ていない。どれも、案が正しいかを判定せずに観察できます。1 つ目は、この章の入口に置いた No.30 そのものです。
私はこの見分け方を、その日の言葉 11 件に当てました。答えを知っていないと言えないものは 3 件です。末尾省略が強い内部プロンプト指示だという注意、当時の記録のままでよいという執筆の方針、番外編に置くという本の構成。どれも実装の設計ではありません。
そして返した言葉は、全部どこかの章にあります。
| 返ってきた言葉 | 章 |
|---|---|
| 「ルール通りでないコマンド実行を確認してください」 | 3 作目 第 1 回 検証を指示しない技術 |
| 「却下してもらってもいいのですが」 | 3 作目 第 2 回 具体的な指示を出さない技術 |
| 「決められないということは…」 | 2 作目 最終回 選択肢を選ばない技術 |
| 「〜してよいですか」に答えない | 2 作目 第 6 回 AI の確認依頼を断る技術 |
| 「もう少し考えましょう」「不足点があれば」 | 3 作目 第 10 回 質問に答えない技術 |
| 「当時の記録なので問題ないです」 | 2 作目 第 1 回 提案を検討しない技術 |
| 「全体を分析して再検討してください」 | 3 作目 第 8 回 AI にダメ出ししない技術 |
この日の流れを説明したとき、私は最後に 1 行添えていました ——「誰でもすぐできる」とは書けません。そこだけが外れています。
依頼者
すぐできると書く必要はありません。本編の技術の組み合わせしか考えずに対応できたことが重要です
第 10 回の仕組みの節は、こう始まります。
置くものはありません。置いてあるのは、ここまでの 9 つです
ただし、本編だけでは足りませんでした。本編が与えるのはどう振る舞うかです。何を見て「足りない」と言うかは、C が与えています。記録で数えること(C-2)、要素ごとに観点を変えること(C-3)、揺れる語の読みを先に返させること(C-4)。
この章の相談をしている最中に、C-4 の hook が実際に鳴りました。が「校閲でカバーした」と書いたときです。読みを 1 行返してから進めました。
検証手順を置かない理由
C-5 と同じです。この章は仕組みを 1 つも作っていません。置いたのは 1 日ぶんの記録だけで、手順の形にすると合格条件を書くことになります。
この日の作業に、合格と呼べる地点はありませんでした。1 本道になったのは 4 回目の提案で、その先でまだ 2 回、答えが返らずに直しています。
この番外編が言えないこと
- 母数は 1 日・1 人・1 リポジトリです。実装にあてた時間は 82 分で、その前後に相談が続いています
- 11 件への仕分けは私がしました。何を 1 件と数えるかを変えれば、3 件という数が動きます
- 選択肢の形で返したのは 2 回だけです。「全部消えた」の母数は小さいままです
- 選ばなかったことと、結果が良かったことの因果は分けられません。同じ時間を「選んで進む」に使った対照がありません
- 8 で出た欠陥が、選ばなかったから見つかったとは言えません(本文にも書きました)。どんな経路なら見つかるかは、この 1 件では出ません
整理して残ったもの
- 案の中身は、ほとんど読まれていません。この日の言葉 11 件のうち、答えを知っていないと言えないものは 3 件でした
- 選択肢は、壊すものを測っていないときに出ます。効き目だけでは順位が付きません
- 答えないことは、空白を返すことではありませんでした。返ってきたのは毎回、次に調べる先の指定です
- 許可は、案が 1 本道になってから出ました。選ぶ必要がなくなった、というのがの言い方です
- 新しい技術は使われていません。本編の章を順に当てただけです
- そのうえで、本編だけでは「足りない」と気づけません。気づく側は、この C でした。本編が不十分だったのではなく、役割が違います