C-5 は、校閲の技術を使った 1 日を、起きた順に置いた章でした。対象は記事です。
この章も同じ形で、対象だけが違います。記事ではなく、実装の 1 日です。
そして、この日に特別なことは何も起きていません。著者の言い方では「いつも通り作業を進めただけ」。新しい技術は 1 つも使われていません。 使われたのは、本編と C に既にある章だけです。
先に 1 行だけ置きます。AI が選択肢を返してきたら、人が選ぶものだと思っていました。この日は誰も選ばず、選択肢のほうが消えました。
⚠️ この番外編にも次回予告がありません。理由は番外編 A・B・C-1〜C-5 と同じです。 ⚠️ 検証手順もありません。理由は最後に書きます。
1. 疑問形で始まった
この日の仕事は、テストの過剰実行を止めることでした。著者から来たのはこれです。
テストがルールに沿わず、過剰実行されています。過去セッションでルール通りでないコマンド実行を確認してください(中略)どうでしょうか?却下してもらってもいいのですが、検討してください
対策案が 2 つ添えてありました。ただし、数は添えられていません。何回起きているかは、私が数えることになっています。
数えました。前日は全量テストが 12 回、合計で約 70 分。12 回とも失敗はゼロで、その日触っていたのは記事の文章だけでした。
3 作目 第 1 回 —— 指示に残すのは、依頼ではなく理由だけ
2. 4 択を返したら、選ばれなかった
調べたことを整理して、私は 4 つの案を並べました。要約の 1 行目に前回の実行日時を出す案、出力をパイプで絞るのを止める案、全量を止める門を「前回からの変更」で作る案、同じ門を「時間の窓」で作る案。前の 2 つに「推奨」と付けました。
返ってきたのは、選択ではありませんでした。
もう少し考えてください。決められないということは検討すべきことが残っていませんか?
このとき私は、4 つの案の効き目をそれぞれ測っていました。「実測 85% を止める」「今日の 12 回が全部止まる」。書いていない側もありました。「効く可能性がある」「逃げ道を常用させる懸念あり」。
2 作目 最終回 —— 選択肢は抜け穴ではなく、まだ決めていない場所の地図
3. 「もう少し考えましょう」が消したもの
調べ直したら、案の 1 つに正当な用途が見つかりました。連載本文が引用している「私の環境の数」は、測り直すために全量を 1 本流すしかありません。止める仕組みを入れると、その用途を最初に潰します。
案の順序が変わりました。
4. 「エッジケースで落とし穴はないですか」が消したもの
止める条件は「前回から、全量でしか見えない変更が 1 件も無い」でした。これは日をまたぐと成り立ちません。当日の日付で今月を決めるテストが 57 ファイルあり、月初に落ちた実例が記録に残っています。
条件が 1 つ増えました。
5. 「不足点があれば検証してください」が消したもの
もう 1 つの案は「出力をパイプで絞るのを止める」でした。過去のコマンドに当ててみたら、絞るのが正しい使い方が大量に出てきました。実装を 1 か所ずつ壊して検査が落ちるかを見る作業では、10 回ぶんの出力を全部読む意味がありません。
一律に止める案は、その作業を丸ごと壊します。対象を「全量のときだけ」に狭めました。
番外編 C-3 —— 一様に当てた点検が、要素をまたいだところで数を落とす
6. なぜ、選択肢が出ていたのか
ここまでで消えた 3 つは、どれも同じ形でした。その案が何を壊すかです。
4 択に書いてあったのは、効き目だけでした。効き目は、その案の中で測れます。壊すものは案の外にあります —— 別の作業の手順、過去に落ちたテスト、記録ファイルの置き場所。案の中だけを見ているかぎり、効き目までしか出ません。
そして効き目だけでは順位が付きません。どれも効くからです。
選択肢は、壊すものを測っていないときに出ます。 測ると、ほとんどが自分で消えます。
別の説明もあり得ます。「案の質が低かっただけで、測ったから消えたのではない」。これは数で分かれます。質の問題なら、壊すものを測った後の案も同じ割合で消えるはずです。実際は、効き目だけで書いた 4 案は原形で残ったものが 0 件、壊すものを測って書き直した 3 案は 3 件とも実装まで進みました(うち 1 つは、あとで著者の一言で中身を狭めています —— 8 に書きます)。消えたのは案そのものではなく、選ぶ理由のほうでした。
著者が返した「エッジケースはないですか」「不足点があれば検証してください」は、どちらも何を壊すかを聞いていました。足りなかった測定を、そのまま名指ししています。
7. 1 本道になった日に、許可が出た
この日、私は判断を 11 回返しています。単純な「はい」で終わったものは 0 回でした。
2 回だけ、選択肢の形で返しました。1 回目が上の 4 択です。2 回目はこう書きました。
この形で進めてよいですか。それとも 1 だけ先に入れて、2・3 は測り直してからにしますか。
返事はありませんでした。代わりに「不足点があれば検証してください」が来ました。
2 分後、私はこう書いています。
この形で 1 から着手してよいですか。
今度は返事がありました。
はい、不足点なければ進めてください
文面だけが変わったのではありません。この 2 分のあいだに、案は 4 つから 3 つに減り、1 つは対象が狭まっていました。選ぶものが残っていない形になってから、許可が出ています。
8. そのあとも、答えは返らなかった
実装中に、私は記事の数を機械で突き合わせる検査を 1 本置きました。連載が書いている数が、いまの実物と合っているかを見る検査です。
著者の返事はこれでした。
当時の記録なので問題ないです
連載は「この数は 2026-09-08 に測ったものです」と断ったうえで書いています。古くなること自体が織り込まれていました。一致を求める検査は、直す必要のない記述を赤で要求します。 私が置いた検査のほうを外しました。
もう 1 度あります。一通り終えて振り返りを書いたとき、著者はツールの実行を止めました。
セッションの一部しか確認検討できてないようです。全体を分析して再検討してください
記憶で書いていました。記録を数え直したら、その日入れたばかりの仕組みが、動いていないと分かりました。止める判断に使う記録が、上限 200 行のファイルに置いてあり、検査を回すたびに十数行ずつ書き足されます。その日 26 回走らせた結果、200 行のうち 199 行が検査の書き込みで埋まり、残っていたのは直近 44 分ぶんだけでした。必要な 1 行は、その外へ押し出されていました。
仕組みを検証する作業が、その仕組みの入力を消していました。
この 1 件は、「選ばなかったから見つかった」の証拠ではありません。数え直しの指示が来たのは、実装ではなく記事化の相談の途中でした。ここに置いたのは別の理由です。私はその 13 分前に「終わりました」と書いています。 進めるというのは、そのあとにまだ続くことでした。
本編 —— 緑は「走った」を意味しない
9. 数え方を、3 回間違えた
上の「200 行のうち 199 行」を出すのに、私は記録を 3 回数え直しています。
このセッションは途中で ID が変わり、記録が 2 ファイルに分かれました。同じ内容が両方に入るので重複を落とすのですが、私は「時刻と種類と本文」で畳みました。道具の呼び出しには本文がありません。 同じ時刻に並んだ Bash が、1 件に縮んでいました。
記録の一意 ID で畳み直して、やっと数が動かなくなりました。
番外編 C-2 —— ② 何回起きたか。記憶ではなく記録で数える
C-2 を書いたのは、2 日前の私です。
この日、何が何を消したか
| 消えたもの | 消したのは |
|---|---|
| 4 つの案のうち、原形で残ったもの(0 件) | 効き目ではなく、壊すものを測ったこと |
| 案の順序 | 「もう少し考えましょう」→ 見つかった正当な用途 |
| 「情報が増えない」という前提 | 「エッジケースはないですか」→ 日付に依存するテスト 57 ファイル |
| 一律に止める案 | 「不足点があれば」→ 絞るのが正しい使い方 |
| 私が置いた検査 1 本 | 「当時の記録なので問題ないです」 |
| 「完了しました」で閉じる未来 | 「全体を分析して再検討してください」 |
| 数が動かない状態 | 記録の一意 ID で畳み直したこと |
本編と、この番外編の役割
この日、著者が新しく考えたことは 1 つもありません。返した言葉は、全部どこかの章にあります。
| 返ってきた言葉 | 章 |
|---|---|
| 「過去セッションで確認してください」 | 3 作目 第 1 回 検証を指示しない技術 |
| 「却下してもらってもいいのですが」 | 3 作目 第 2 回 具体的な指示を出さない技術 |
| 「決められないということは…」 | 2 作目 最終回 選択肢を選ばない技術 |
| 「〜してよいですか」に答えない | 2 作目 第 6 回 AI の確認依頼を断る技術 |
| 「もう少し考えましょう」「不足点があれば」 | 3 作目 第 10 回 質問に答えない技術 |
| 「当時の記録なので問題ないです」 | 2 作目 第 1 回 提案を検討しない技術 |
| 「全体を分析して再検討してください」 | 3 作目 第 8 回 AI にダメ出ししない技術 |
第 10 回の仕組みの節は、こう始まります。
置くものはありません。置いてあるのは、ここまでの 9 つです
ただし、本編だけでは足りませんでした。本編が与えるのはどう振る舞うかです。何を見て「足りない」と言うかは、C が与えています。記録で数えること(C-2)、要素ごとに観点を変えること(C-3)、揺れる語の読みを先に返させること(C-4)。
この章の相談をしている最中に、C-4 の hook が実際に鳴りました。著者が「校閲でカバーした」と書いたときです。読みを 1 行返してから進めました。
検証手順を置かない理由
C-5 と同じです。この章は仕組みを 1 つも作っていません。置いたのは 1 日ぶんの記録だけで、手順の形にすると合格条件を書くことになります。
この日の作業に、合格と呼べる地点はありませんでした。1 本道になったのは 4 回目の提案で、その先でまだ 2 回、答えが返らずに直しています。
この番外編が言えないこと
- 母数は 1 日・1 人・1 リポジトリです。実装にあてた時間は 82 分で、その前後に相談が続いています
- 選択肢の形で返したのは 2 回だけです。「全部消えた」の母数は小さいままです
- 選ばなかったことと、結果が良かったことの因果は分けられません。同じ時間を「選んで進む」に使った対照がありません
- 8 で出た欠陥が、選ばなかったから見つかったとは言えません(本文にも書きました)。どんな経路なら見つかるかは、この 1 件では出ません
整理して残ったもの
- 選択肢は、壊すものを測っていないときに出ます。効き目だけでは順位が付きません
- 答えないことは、空白を返すことではありませんでした。返ってきたのは毎回、次に調べる先の指定です
- 許可は、案が 1 本道になってから出ました。選ぶ必要がなくなった、というのが著者の言い方です
- 新しい技術は使われていません。本編の章を順に当てただけです
- そのうえで、本編だけでは「足りない」と気づけません。気づく側は、この C でした。本編が不十分だったのではなく、役割が違います