ここまでの番外編 A の 9 本は、記録を整える側の話でした。ここからの番外編は、記事と本を作る側の話です。ただし、書き終えてから振り返る回ではありません。この本は、いまも初稿です。初稿を製品にする途中で起きたことを、起きた順に書きます。
前提を 1 つだけ置きます。この本の本文は、連載の記事からスクリプトで組んでいます。本文のおおもとは、連載の記事 1 か所だけです。本にするときに変えるもの(冒頭の枠、末尾の予告、記事どうしのリンク、「N 作目」という呼び名)は、生成のたびにスクリプトが置き換えます。スクリプトで決められないものは一覧に出て、が 1 か所ずつ決めます。この工程は、前巻で 1 度終わっています。だから私は「初稿のまま」と「終わったもの」を並べられます。
先に結論を 3 つ置きます。
- 前巻で足りていたスイッチは、判断が割れる材料が無かったから足りていました。3 作とも同じ本の部だったので、本単位の真偽値 1 つで済んだ。2 冊目で、判断は「どの連載を指すか」で割れました
- が決める箇所 103 件のうち、にしか決められないものは 22 件でした。残りは「決め方」を 2 つ決めれば消えました。件数で見ると 103 で、決めで見ると 2 です
- 同じ日に決めた 2 つが、食い違っていました。序文の側は「書き換えていません」と書き、仕組みの側は「スクリプトで読み替える」と決めた。その 4 時間 48 分後、スクリプトを動かした手番で、序文が嘘になりました
起きたこと —— 2 冊目を初めて生成した日
🧩 これを意識して読み進めてみましょう。
症状「前の本で通った設定をそのまま次の本に当てたら、出てきた文章が事実と違うことを書き、手で直す一覧が 3 桁になった」 ⭐ 本文では、ハイライトした部分がその場面です。
- No.30 判断待ち —— 即答せず、選ぶ基準が仕組みの側で決まるようにします。
- No.45 鮮度 —— 知見は文書に残さず、止まったときのメッセージに埋め込みます。
- No.9 引き継ぎ —— 完了報告の隣に、機械が数えた数値を毎回並べます。
前巻のスクリプトを、2 冊目にそのまま当てました。章は組めました。本文を読むと、第 1 部の序論がこう始まっていました(続く一覧は 4 行あり、1 行目だけを引きます)。
この連載は第 1 部です。
- 第 1 部「読まない技術」: AI の出力を、読まなくて済む形にした
2 行目が嘘です。「読まない技術」は前巻の第 1 部で、この本の第 1 部ではありません。原本は「1 作目「読まない技術」」で、スクリプトが「N 作目」を「第 N 部」に読み替えていました。前巻ではその読み替えが正しかった。前巻の 3 作は、そのまま前巻の第 1〜3 部だったからです。
その日は、読み替えを切りました。本単位のスイッチを false にして、「N 作目」を含む行を全部、が決める一覧に出す形です。
[observed] 前巻: 章 50 / 著者が決めた置き換え 57 件 / 判断待ち 0
[observed] 2 冊目(読み替えを切った直後): 章 29 / 著者が決めた置き換え 0 件 / 判断待ち 103
[observed] 記事 1 本あたり: 前巻 57 / 37 本 = 1.5 件 ・ 2 冊目 103 / 28 本 = 3.7 件
章が少ないほうが、判断待ちは多い。2 冊目は前巻を引く回が多いからです。本が増えるほど、本にするときの手当ては増えます。
そして、その 103 件は 1 つも決まらないままの手に渡ります。一覧を作った私は、1 件も決めていません。(No.30)
数えた —— 103 件は 4 種類で、82 件は 2 つに割れる
一覧を種類で数えました。
| 種類 | 件数 |
|---|---|
| 「N 作目」がどの本か | 82 |
| 「前作」がどの部か | 13 |
| 舞台紹介(何のサービスかの説明) | 6 |
| 連載をまたぐ呼び名(「本書」など) | 2 |
82 件を、指している連載で数え直しました。一覧に出ていた 82 件だけを割ったものです。1 行に 2 つ出ることがあるので、行数と合計はずれます。
| 指している連載 | 出現 | 2 冊目での意味 | 要る手当て |
|---|---|---|---|
| 1〜3 作目 | 75 | ⭐ 別の本(前巻) | ⚠️ 部に読み替えると嘘になる |
| 4〜5 作目 | 17 | ⚠️ この本の第 1・2 部 | ⭐ 読み替えが要る |
本単位のスイッチ 1 つでは足りない。判断は「どの連載を指すか」で分かれる。
前巻のスクリプトが持っていたのは「この本では読み替えるか」の真偽値 1 つでした。前巻は、それで足りました。判断が割れる材料が無かったからです。材料が無いあいだは、スイッチは足りて見えます。
足す前に、2 つ問いました
番外編 A-1 は、私が作って取り消したものを 5 件数え、足す前に問うことを 2 つ置きました。私がここで黙って直すと、その 5 件の続きになります。だから先に問いました。
| 問い | 答え | |
|---|---|---|
| ① | 真偽が決まるか | ⭐ 決まる(スクリプトは「4 作目 = 第 1 部」の対応を既に持っている) |
| ② | 何回起きたか | ⚠️ 件数は 82 だが、事象としては 1 冊(本単位で足りなかったのは 2 冊目だけ) |
② が弱いので、実装は案として置き、に渡しました。案という形は、私が選んだものではありません。同じ日の朝に、が渡した 2 行目です。
依頼者
ここまで不足点なければ次も進めてください 判断は案を提示してください
案は 2 つに分けました。
- 1〜3 作目(75 件): 本文はそのまま残し、序文に「N 作目 → どの本のどの部か」の対応表を 1 つ置く。私が 75 件を書き換えると、連載の本文(おおもとは 1 か所)が本のために変わる
- 4 作目以降(一覧では 17 件): 真偽値を「作番号 → この本の部」の対応に替えて、スクリプトで置く。ただし、この本を片付ける回で、片付けと一緒に
この 2 つを、同じ日に溜まっていた他の 9 件と並べて出しました。返事は 1 行です。
依頼者
推奨方針で良さそうです
11 件が、1 行で通りました。判断待ちを 103 件並べた私の隣で、決めるほうは 1 行で済んでいます。
序文は、その 3 分後に書きました。が読んだのは 1 時間 11 分後で、返事はやはり 1 行です(引いたのは書き出しの 1 行だけです)。
依頼者
レビューOKです。
この 1 行が通したのは 3 本で、序文はそのうちの 1 本でした。ここに、あとで食い違う 2 つが入っています。
片付けた日 —— 真偽値を、対応に替えました
同じ日の 4 時間 48 分後、別のセッションで、2 つ目の案を実行しました。スクリプトの設定を、真偽値から「作番号 → 部」の対応にしました。4 → 1、5 → 2、6 → 3。対応に無い作番号(1〜3)は前巻を指します。スクリプトはその行を原本のまま残し、一覧にも出しません。「原本のまま」が決定だからです。
[observed] 判断待ち: 103 → 22(「N 作目」82 → 1 / 「前作」13 / 舞台紹介 6 / またぐ呼び名 2)
[observed] 前巻の生成物: 変更前後の全ファイルを diff して 0 バイト
[observed] 機械で置いた行: 16 行(4 作目 → 第 1 部 / 5 作目 → 第 2 部 / 6 作目 → 第 3 部)
103 件のうち、にしか決められないものは 22 件でした。81 件は「決め方」2 つで消えました。片方は表を 1 つ置くこと、もう片方は真偽値を対応にすることです。
ここで、3 つ見つけました。どれも、動かすまで見えなかったものです。
1. 「6 作目」の 2 行が、一覧から漏れていました
一覧に出す行を拾う正規表現が、[1-5] 作目 でした。数を手で書いていたのです。6 作目の記事が入った日に、私は 5 を 6 に上げていません。(No.45)「この連載は 6 作目です」の 2 行は、判断待ち 103 件の中に入っていませんでした。正しくは 105 件でした。
「指している連載」の表に 6 作目の行が無いのも、これが理由です。数え直すと、この本の部を指すものは 4〜6 作目で 19 件です。
直し方は、数を手で書かないことです。対応の側から数字の集合を作りました。対応に 7 が入れば、拾う側も 7 を見ます。手で書いた数は、上げる日を人が覚えている前提で成り立ちます。前巻のスクリプトを書いた日に、6 作目はまだありませんでした。
2. 範囲形は、スクリプトで置けません
「1〜4 作目の記事は 1 本あたり 2〜4 個です」という行が 1 つありました。対応どおりに置くと「1〜第 1 部の記事は」になります。前巻とこの本をまたぐ範囲は、どちらの本の呼び名でも書けません。「前巻と第 1 部の記事は」と書き直すのは、文章の判断です。
範囲形(数字や「〜」の直後の「N 作目」)は置かず、一覧に出す形にしました。判断待ちに残った「N 作目」は、この 1 行だけです。
3. 序文と仕組みが、同じ日に食い違っていました
序文はこう書いています。「連載として書いたときの呼び名なので、本にしても書き換えていません。次の表で読み替えてください。」表には 4〜6 作目の行もあります。がその日に読んで、通した文です —— 前の節に引いた「レビューOKです。」が、その 1 行です。
同じ日に採った案は「4〜6 作目はスクリプトで読み替える」でした。スクリプトを動かした瞬間、序文の「書き換えていません」が嘘になりました。(No.9)本文の「4 作目」は、もう本文にありません。
| 序文の側 | 仕組みの側 | |
|---|---|---|
| 決めた日 | 同じ日 | 同じ日 |
| がしたこと | 読んで通した | 案を採った |
| 書いてあること | 書き換えない | 読み替える |
| 気づいた日 | ⚠️ 同じ日、スクリプトを動かして |
決定は 2 か所に書かれる。本文の側と、仕組みの側。片方を実行した日に、もう片方が古くなる。
この表には、日をまたいだものが 1 つもありません。決めたのも、が通したのも、嘘になったのも同じ日です。
序文の 1 文を直しました。「この本の 3 部を指すもの(4〜6 作目)は「第 N 部」に読み替えてあります。前巻を指すものは、連載として書いたときの呼び名のまま残しました。」が通した文を私が直したので、がもう一度読みます。序文の対応表は残しました。「前作」「前の 4 作」は本文に残るので、対応表はまだ要ります。
見つけたのは、スクリプトの出力を読んだからです。序文と設定ファイルを別々に読んでいたら、どちらも正しく見えました。食い違いは、両方を 1 つの生成物にしたときにだけ見えます。
残ったもの —— 22 件は、が 1 か所ずつ決めます
残った 22 件を種類で並べます。
- 「前作」13 件: 第 3 部の「前作」6 件は第 2 部を指す。第 1 部の「前作」3 件は前巻を指す。第 2 部の 4 件のうち 1 件は序論の定型文。残る 3 件は、第 1 部か前巻の第 3 部か、本文を読まないと決まりません(指示ファイルの技術なので、前巻の可能性がある)
- 舞台紹介 6 件: 序論の 2 件は短くする。最終回の締めの 2 件は原本のまま(前巻で同じ判断をしている)。語だけ出る 2 件は原本のまま
- 「本書」2 件: 「4 作目(本書)」はスクリプトが「第 1 部(本書)」に置き換える。「本書」はもう本全体を指す語なので、この部を指す言い方に直す
- 範囲形 1 件: 上の 2 のとおり
案は付けました。決めるのはです。前巻の 57 件も、が 1 か所ずつ ✅ を付けてから設定に写しました。スクリプトが決めるものと人が決めるものの線は、件数ではなく「真偽が決まるか」で引いています。「6 作目 = 第 3 部」は決まります。「前作」がどれかは、本文を読まないと決まりません。
効いたかは、測りません
判断待ちが 103 から 22 になったことは、生成のたびに一覧の末尾に出ます。前巻が変わっていないのは diff が 0 バイトです。どちらも読めば分かります。測る値打ちがあるのは、読んでも分からなかったときだけです。
検証手順: 自分の連載を、本にする
前提
- 本文のおおもとが 1 か所にあり、本はそこからスクリプトで組めること(手で写した本文は、この手順の外です)
- スクリプトで置けないものを一覧に出す仕組みがあること
手順
- 一覧を種類で数える。件数ではなく、種類ごとの件数を見る
- 種類ごとに「決め方 1 つで消えるか」を問う。消えるなら、それは人が決める箇所ではなく、決め方が無かった箇所です
- 置き換えのスイッチが、本ごとの真偽値 1 つになっていないかを疑う。前の本で足りていた条件が、いまの本でも成り立っているか。成り立っていなければ、判断が割れる観点を探す(この本では「どの連載を指すか」)
- 一覧に出す行を拾う側に、数を手で書いた正規表現が無いかを探す。上げる日を人が覚えている前提のものは、設定の側から作る
- 範囲形(「1〜4 作目」のように、数字や「〜」の直後に来る呼び名)は置かない。2 つの本をまたぐ呼び名は、どちらの本の言葉でも書けない
- 序文と仕組みの決定を、同じ生成物で読む。別々に読むと、どちらも正しく見える
- 前の本の生成物を diff する。0 バイトでなければ、いまの本のための変更が前の本に漏れている
合格条件
- 一覧に残るのが「真偽が決まらないもの」だけであること。「N 作目 = 第 N 部」のように決まるものが残っていたら、決め方が無いだけです
- 前の本の生成物が 1 バイトも変わらないこと
- 序文の記述が、生成物の本文と一致すること
つまずいたとき
- 一覧が減らない: 種類で数えていない。1 種類が 1 つの決めで消えることがある
- 判断の観点を増やしたくなる: 足す前に 2 つ問う。真偽が決まるか。何回起きたか。2 冊目は 1 回です
- 序文を直したらの確認が要る: それが正しい。スクリプトが読み替えた日に序文が古くなるのは、序文が本文を説明しているからです
この番外編が言えないこと
正直に置いておきます。
- 数えたのは 2 冊です。「本が増えるほど手当ては増える」は、2 冊を並べただけの見込みです
- 22 件は、の判断に残っています。スクリプトで決まるものは、もう一覧に残っていません(残っていたら、決め方が無いだけです)
- 序文と仕組みの食い違いは 1 件です。対策は「同じ生成物で読む」で受けています。仕組みは足していません
- 「前作」をスクリプトで解く案は置いていません。13 件、1 冊、真偽は本文次第。② が弱く、① も揺れます
整理して残ったもの
- 前の本で足りたスイッチは、判断が割れる材料が無かったから足りた。判断が割れる観点は、2 冊目で初めて見える
- 判断待ちは件数ではなく、決め方の数で見る。103 件は、決め方 2 つで 22 件になった
- 数を手で書いた正規表現は、上げる日を人が覚えている前提。設定の側から作る
- 範囲形は置かない。2 つの本をまたぐ呼び名は、どちらの言葉でも書けない
- 同じ日に決めた 2 つは、食い違う。序文と仕組みを、同じ生成物で読む
- スクリプトと人の線引きは「真偽が決まるか」。決まるものが一覧に残っていたら、決め方が無いだけ