ここまでの番外編 5 本は、記録を整える側の話でした。ここからの番外編は、記事と本を作る側の話です。ただし、書き終えてから振り返る回ではありません。この本は、いまも初稿です。初稿を製品にする途中で起きたことを、起きた順に書きます。

前提を 1 つだけ置きます。この本の本文は、連載の記事から機械で組んでいます。本文の正は、連載の記事 1 か所だけです。本にするときに変えるもの(冒頭の枠、末尾の予告、記事どうしのリンク、「N 作目」という呼び名)は、生成のたびに機械が置き換えます。機械で決められないものは一覧に出て、著者が 1 か所ずつ決めます。この工程は、前巻で 1 度終わっています。だから「初稿のまま」と「終わったもの」を並べられます。

先に結論を 3 つ置きます。

  • ⭐⭐ 前巻で足りていたスイッチは、条件が縮退していたから足りていました。3 作とも同じ本の部だったので、本単位の真偽値 1 つで済んだ。2 冊目で、判断は「どの作を指すか」で割れました
  • ⭐⭐⭐ 著者が決める箇所 103 件のうち、著者にしか決められないものは 22 件でした。残りは「決め方」を 2 つ決めれば消えました。件数で見ると 103 で、決めで見ると 2 です
  • ⚠️⚠️ 同じ日に決めた 2 つが、食い違っていました。序文の側は「書き換えていません」と書き、仕組みの側は「機械で読み替える」と決めた。機械を動かした日に、序文が嘘になりました

⚠️ この番外編にも次回予告がありません。理由は番外編 A と同じです。

起きたこと —— 2 冊目を初めて生成した日

前巻の生成器を、2 冊目にそのまま当てました。章は組めました。本文を読むと、第 1 部の序論がこう始まっていました。

この連載は第 1 部です。

  • 第 1 部「読まない技術」: AI の出力を、読まなくて済む形にした

⚠️⚠️ 2 行目が嘘です。「読まない技術」は前巻の第 1 部で、この本の第 1 部ではありません。原本は「1 作目「読まない技術」」で、機械が「N 作目」を「第 N 部」に読み替えていました。前巻ではその読み替えが正しかった。前巻の 3 作は、そのまま前巻の第 1〜3 部だったからです。

その日は、読み替えを切りました。本単位のスイッチを false にして、「N 作目」を含む行を全部、著者が決める一覧に出す形です。

[observed] 前巻: 章 50 / 著者が決めた置き換え 57 件 / 判断待ち 0
[observed] 2 冊目(読み替えを切った直後): 章 29 / 著者が決めた置き換え 0 件 / 判断待ち 103
[observed] 記事 1 本あたり: 前巻 57 / 37 本 = 1.5 件 ・ 2 冊目 103 / 28 本 = 3.7 件

⚠️ 章が少ないほうが、判断待ちは多い。2 冊目は前巻を引く回が多いからです。本が増えるほど、本にするときの手当ては増えます。

数えた —— 103 件は 4 種類で、82 件は 2 つに割れる

一覧を種類で数えました。

種類件数
「N 作目」がどの本か82
「前作」がどの部か13
舞台紹介(何のサービスかの説明)6
連載をまたぐ呼び名(「本書」など)2

82 件を、指している作で数え直しました。1 行に 2 つ出ることがあるので、行数と合計はずれます。

指している作出現2 冊目での意味要る手当て
1〜3 作目75別の本(前巻)⚠️ 部に読み替えると嘘になる
4〜6 作目17⚠️ この本の第 1〜3 部⭐ 読み替えが要る

⭐⭐⭐ 本単位のスイッチ 1 つでは足りない。判断は「どの作を指すか」で分かれる。

前巻の生成器が持っていたのは「この本では読み替えるか」の真偽値 1 つでした。⚠️ 前巻ではそれで足りた。足りた理由は、判断が割れる材料が無かったからです。条件が縮退していると、スイッチは足りて見えます。

足す前に、2 つ問いました

番外編 A で数えた落とし穴のとおり、ここで黙って直すと「良かれと思って足したもの」の 6 件目になります。足す前に問いました。

問い答え
真偽が決まるか⭐ 決まる(生成器は「4 作目 = 第 1 部」の対応を既に持っている)
何回起きたか⚠️ 件数は 82 だが、事象としては 1 冊(本単位で足りなかったのは 2 冊目だけ)

② が弱いので、実装は案として置き、著者に渡しました。案は 2 つに分けました。

  • 1〜3 作目(75 件): 本文はそのまま残し、序文に「N 作目 → どの本のどの部か」の対応表を 1 つ置く。75 件を書き換えると、連載の本文(正は 1 か所)が本のために変わる
  • 4〜6 作目(17 件): 真偽値を「作番号 → この本の部」の対応に替えて、機械で置く。ただし、この本を片付ける回で、片付けと一緒に

著者は 11 件の案をまとめて見て、推す案を採りました。序文は同じ日に書き、著者が読みました。⚠️ ここに、あとで食い違う 2 つが入っています。このときは気づいていません。

片付けた日 —— 真偽値を、対応に替えました

翌日、2 つ目の案を実行しました。生成器の設定を、真偽値から「作番号 → 部」の対応にしました。4 → 1、5 → 2、6 → 3。対応に無い作番号(1〜3)は前巻を指すので、原本のまま残し、一覧にも出しません。「原本のまま」が決定だからです。

[observed] 判断待ち: 103 → 22(「N 作目」82 → 1 / 「前作」13 / 舞台紹介 6 / またぐ呼び名 2)
[observed] 前巻の生成物: 変更前後の全ファイルを diff して 0 バイト
[observed] 機械で置いた行: 16 行(4 作目 → 第 1 部 / 5 作目 → 第 2 部 / 6 作目 → 第 3 部)

103 件のうち、著者にしか決められないものは 22 件でした。81 件は「決め方」2 つで消えました。片方は表を 1 つ置くこと、もう片方は真偽値を対応にすることです。

ここで、3 つ見つけました。どれも、動かすまで見えなかったものです。

1. 「6 作目」の 2 行が、一覧から漏れていました

一覧に出す行を拾う正規表現が、[1-5] 作目 でした。数を手で書いていたのです。6 作目の記事が入った日に、5 を 6 に上げていません。「この連載は 6 作目です」の 2 行は、判断待ち 103 件の中に入っていませんでした。⚠️ 正しくは 105 件でした。

直し方は、数を手で書かないことです。対応の側から数字の集合を作りました。対応に 7 が入れば、拾う側も 7 を見ます。⚠️⚠️ 手で書いた数は、上げる日を人が覚えている前提で成り立ちます。前巻の生成器を書いた日に、6 作目はまだありませんでした。

2. 範囲形は、機械で置けません

「1〜4 作目の記事は 1 本あたり 2〜4 個です」という行が 1 つありました。対応どおりに置くと「1〜第 1 部の記事は」になります。⚠️ 前巻とこの本をまたぐ範囲は、どちらの本の呼び名でも書けません。「前巻と第 1 部の記事は」と書き直すのは、文章の判断です。

範囲形(数字や「〜」の直後の「N 作目」)は置かず、一覧に出す形にしました。⭐ 判断待ちに残った「N 作目」は、この 1 行だけです。

3. 序文と仕組みが、同じ日に食い違っていました

序文にはこう書いてありました。「連載として書いたときの呼び名なので、本にしても書き換えていません。次の表で読み替えてください。」表には 4〜6 作目の行もあります。著者がその日に読んで、通した文です。

同じ日に採った案は「4〜6 作目は機械で読み替える」でした。⚠️⚠️ 機械を動かした瞬間、序文の「書き換えていません」が嘘になりました。本文の「4 作目」は、もう本文にありません。

序文の側仕組みの側
決めた日同じ日同じ日
著者の印読んで通した案を採った
書いてあること書き換えない読み替える
気づいた日⚠️ 翌日、機械を動かして

⭐⭐ 決定は 2 か所に書かれる。本文の側と、仕組みの側。片方を実行した日に、もう片方が古くなる。

序文の 1 文を直しました。「この本の 3 部を指すもの(4〜6 作目)は「第 N 部」に読み替えてあります。前巻を指すものは、連載として書いたときの呼び名のまま残しました。」⚠️ 著者が通した文を私が直したので、著者がもう一度読みます。表は残しました。「前作」「前の 4 作」は本文に残るので、表はまだ要ります。

⭐ 見つけたのは、機械の出力を読んだからです。序文と設定ファイルを別々に読んでいたら、どちらも正しく見えました。食い違いは、両方を 1 つの生成物にしたときにだけ見えます。

残ったもの —— 22 件は、著者が 1 か所ずつ決めます

残った 22 件を種類で並べます。

  • 「前作」13 件: 第 3 部の「前作」6 件は第 2 部を指す。第 1 部の「前作」3 件は前巻を指す。第 2 部の 4 件のうち 1 件は序論の定型文。⚠️ 残る 3 件は、第 1 部か前巻の第 3 部か、本文を読まないと決まりません(指示ファイルの技術なので、前巻の可能性がある)
  • 舞台紹介 6 件: 序論の 2 件は短くする。最終回の締めの 2 件は原本のまま(前巻で同じ判断をしている)。語だけ出る 2 件は原本のまま
  • 「本書」2 件: 「4 作目(本書)」は機械で「第 1 部(本書)」になる。⚠️ 「本書」はもう本全体を指す語なので、この部を指す言い方に直す
  • 範囲形 1 件: 上の 2 のとおり

⚠️ 案は付けました。決めるのは著者です。前巻の 57 件も、著者が 1 か所ずつ ✅ を付けてから設定に写しました。⭐ 機械が決めるものと人が決めるものの線は、件数ではなく「真偽が決まるか」で引いています。「6 作目 = 第 3 部」は決まります。「前作」がどれかは、本文を読まないと決まりません。

効いたかは、測りません

判断待ちが 103 から 22 になったのは、生成のたびに一覧の末尾に出ます。前巻が変わっていないのは diff が 0 バイトです。⭐ どちらも読めば分かります。測る値打ちがあるのは、読んでも分からなかったときだけです。

検証手順: 自分の連載を、本にする

前提

  • 本文の正が 1 か所にあり、本はそこから機械で組めること(手で写した本文は、この手順の外です)
  • 機械で置けないものを一覧に出す仕組みがあること

手順

  1. 一覧を種類で数える。件数ではなく、種類ごとの件数を見る
  2. ⭐⭐ 種類ごとに「決め方 1 つで消えるか」を問う。消えるなら、それは人が決める箇所ではなく、決め方が無かった箇所です
  3. ⚠️ スイッチが本単位かを疑う。前の本で足りていた条件が、いまの本でも成り立っているか。成り立っていなければ、判断が割れる軸を探す(この本では「どの作を指すか」)
  4. 数を手で書いた正規表現を探す。上げる日を人が覚えている前提のものは、設定の側から作る
  5. 範囲形を置かない。2 つの本をまたぐ呼び名は、どちらの本の言葉でも書けない
  6. ⚠️⚠️ 序文と仕組みの決定を、同じ生成物で読む。別々に読むと、どちらも正しく見える
  7. 前の本の生成物を diff する。0 バイトでなければ、いまの本のための変更が前の本に漏れている

合格条件

  • 一覧に残るのが「真偽が決まらないもの」だけであること。「N 作目 = 第 N 部」のように決まるものが残っていたら、決め方が無いだけです
  • 前の本の生成物が 1 バイトも変わらないこと
  • ⚠️ 序文の記述が、生成物の本文と一致すること

つまずいたとき

  • 一覧が減らない: 種類で数えていない。1 種類が 1 つの決めで消えることがある
  • ⚠️ スイッチを足したくなる: 足す前に 2 つ問う。真偽が決まるか。何回起きたか。2 冊目は 1 回です
  • 序文を直したら著者の確認が要る: それが正しい。機械が読み替えた日に序文が古くなるのは、序文が本文を説明しているからです

この番外編が言えないこと

⚠️ 正直に置いておきます。

  • ⚠️⚠️⚠️ 母数は 2 冊です。「本が増えるほど手当ては増える」は、2 点を結んだ線です
  • ⚠️ 22 件は、著者の判断に残っています。機械で決まるものは、もう一覧に残っていません(残っていたら、決め方が無いだけです)
  • ⚠️ 序文と仕組みの食い違いは 1 件です。対策は「同じ生成物で読む」で受けています。仕組みは足していません
  • 「前作」を機械で解く案は置いていません。13 件、1 冊、真偽は本文次第。② が弱く、① も揺れます

整理して残ったもの

  • ⭐⭐ 前の本で足りたスイッチは、条件が縮退していたから足りた。判断が割れる軸は、2 冊目で初めて見える
  • ⭐⭐⭐ 判断待ちは件数ではなく、決め方の数で見る。103 件は、決め方 2 つで 22 件になった
  • ⚠️⚠️ 数を手で書いた正規表現は、上げる日を人が覚えている前提。設定の側から作る
  • ⚠️ 範囲形は置かない。2 つの本をまたぐ呼び名は、どちらの言葉でも書けない
  • ⚠️⚠️ 同じ日に決めた 2 つは、食い違う。序文と仕組みを、同じ生成物で読む
  • 機械と人の線は「真偽が決まるか」。決まるものが一覧に残っていたら、決め方が無いだけ