前の 2 章で、私は校正の方法に本編を当て(C-1)、見つかったものを仕組みと人に仕分けました(C-2)。どちらも、文章全体に一様に当てた点検です。
から来たのは、その「一様」への問いでした。
依頼者
ストーリ、タイトル、次回予告、検証手順、評価、などなど、異なるコンセプト違反、異なる確認観点を当てないといけない場合がありそうですが、考慮されていますか?
⚠️ 私は考慮していませんでした。
先に結論を 3 つ置きます。
- 同じ 1 文の可否が、置き場で逆転します。連載の本編で必須のものが、番外編では禁止です。だから「文章に一様に当てる校正」は、そもそも作れません
- 記録にあるコンセプト違反は 7 つのパターンに分かれ、7 つとも人が見つけていました。仕組みが見つけたものは 1 件もありません。共通点は「文が間違っている」ではなく、「読者に渡す順番が壊れている」でした
- そして、この観点表を作るために引いた数を当て直したら、4 つが再現しませんでした。いちばん大きく外していた 1 つは、数え方しだいで 9 種にも 35 種にもなります —— 前に書いたのは 19 種で、どちらとも合いません。残り 3 つは、どう数えたかが書いていないだけでした
検証手順はありません。理由は「この章に、検証手順を置かない理由」に書きます。
この章がやったこと —— 新しい自動テストを 1 本も置いていません
🧩 これを意識して読み進めてみましょう。
症状「AI に文書全体を点検させたら、同じ指摘が別の場所では的外れになり、出てきた件数も前に数えたときと合わない」 ⭐ 本文では、ハイライトした部分がその場面です。
- No.15 機械検証 —— 禁止事項ごとに「適用範囲」を書き、迷う境界を 1 行ずつ挙げます。
- No.31 走査 —— 走査しているのに件数の下限を持たない自動テストを、外から数えて見つけます。
- No.29 推測 —— 参照先と実装の両方に同じ識別子を書かせ、その識別子が実在するかを自動テストで見ます。
先に断っておきます。前の 2 章は、記録から原文を写すスクリプトを 1 本と、参照が解けるかを見る自動テストを 1 本置きました。この章は 0 です。
足さない側の回です。私が代わりに置いたのは、要素ごとの観点表と、通読 1 回で持つ観点 2 つだけです。
コンセプト違反は 7 つのパターンに分かれた —— 全部、人が見つけている
まず、これまでに指摘されたコンセプト違反を、記録からパターンに分けました。私が思い出したのではなく、指摘の原文を拾って分けたものです。その原文も並べます(長い発話は、そのパターンに当たるところだけを引きます)。
| パターン | 指摘の原文 | 何が起きたか |
|---|---|---|
| a | 「タイトルで否定しているのに、読者に想像させずにタイトルの否定を無視して内容紹介しています。」 | 題で否定したことを、紹介文が打ち消していた |
| b | 「ストーリーを最初の二行で概要説明されてしまうとそれ以降頭に入らなくなります。」 | 物語の冒頭 2 行で、概要を説明していた |
| c | 「上記ネタバレでしょうか、意味がわかりません。」 | 主題文が、解決の形まで言っていた |
| d | 「メモリから仕組みへを教えてるのに、すごく先の作業の値をメモリに載せていませんか?」 | 本編が否定したこと(覚えておく)を、読者にだけ要求していた |
| e | 「こういった、コンセプト違反の混乱を与えるのはよくないです。」 | 読者を助けるつもりで置いた目印が、混乱のもとになっていた |
| f | 「番外編はストーリー、次回予告はストーリーが不要です。体験のストーリーは必要です」 | 番外編で、本編の装置を使っていた |
| g | 「序盤で唯一のストーリー要素をネタバレしないでください」 | 序盤で、最終回の回収をばらしていた |
7 つに共通するのは、文の正しさではありません。どれも文としては正しく、事実も合っています。壊れているのは、読者に渡す順番と位置です。
だから、この 7 つは字句の校正でも、整合を見る自動テストでも出ません。7 つとも、人()が読んで見つけたものです。
要素ごとに、見るところが違う
下の表を作る前に、問いの 7 分後に続きが届いています。
依頼者
評価は各記事内の検証への評価部分の認識でした 検証手順の型はあった方がいいですが、読んでわかることはしなくていいことは本編で説明済みです。番外編は実践応用になります。検証手順はその上で、必要なもののみとなります。
他に
破綻させてはいけない伏線が大量にあります。 不適切なルール、仕組みが混入されている可能性もあります。通読して見つけていくことも重要です。ただし、ここを考えすぎるといけません。破綻しない程度の実施が必要です。 考慮できていますか
1 行目は、下の表に出てくる語を定義しています。「評価」は文章の要素の 1 つではなく、各記事の検証手順の中で、結果を評価する部分のことでした。私は問いの中の「評価」を、別の意味で読みかけていました。下の表の「評価」の行は、この 1 行目の意味で書いてあります。
そして残りの 3 つは、この章の後半 3 節と 1 対 1 で対応します —— 伏線・混入・検証手順の 3 節です。書いた順だけが、発話の順と入れ替わっています。章の構成は、この 1 発話が決めています。
そのうえで、私は文章を要素に分けて、要素ごとに「何を見るか」「誰が見るか」を並べました。
| 要素 | 見るところ | 仕組み | 人 |
|---|---|---|---|
| 題 | 決まった形か / 言い切ったものを打ち消していないか | ✅ 形は数えられる | ⚠️ 打ち消し(a) |
| 導入・主題文 | 答えを先に言わない / 圧縮しない / 「誰が」を書く | ✅ 主題文の形 | ⚠️ 解決の形(b・c) |
| 連載の物語 | 振り回した装置の数が、最終回の印字と合うか | ✅ 数は仕組み | ⚠️ 回収と合っているか(f・g) |
| 次回予告 | 症状 1 文で終える / 予告した症状が次の回と合う | ✅ 形だけ | ⚠️ 中身(改稿で嘘になる) |
| 本文の組み立て | 節の種類が揃う / 言い切りが「言えないこと」を超えない | ✅ 種類の数 | ⚠️ 言い切りの範囲 |
| 検証手順 | 並び / 前提なしで踏めるか / 数字の出どころ | ✅ 並び | ⚠️ 踏めるか |
| 評価 | 数字と母数がそろっているか / 評価の言葉が数字より強くないか | ✅ 数の追随 | ⚠️ 言葉の強さ |
| 用語 | 内輪の言い方 / 初出の説明 | ✅ 語の一覧 | ⚠️ 説明が要る語か |
| 前作参照・リンク | 名指しと URL が同じ回か / リンクが解けるか | ✅ ほぼ仕組み | ⚠️ 繰り返しの書き方 |
| 配布先ごとの見え方 | はみ出さないか / 扱えない記法 | ✅ 仕組み | ⚠️ 余白と改行 |
右 2 列を見ると、C-2 の仕分けが要素ごとにもう一度出てきます —— 数えられるものは仕組み、範囲と強さは人。
いちばん危ないのは、置き場で可否が逆転する要素
表の中で、性質が違う行があります。
- 連載の本編では、次回予告は必須です
- 番外編では、次回予告は禁止です
- 紹介用の文では、答えを出すこと自体が禁止です
つまり、同じ 1 文が、置き場によって「必須」「禁止」に分かれます。文だけを見て正誤が決まりません。(No.15)
これが「一様な校正」が作れない理由です。そして、上の 7 つのパターンのうち f(番外編で本編の装置を使う)は、まさにこれを踏んだものでした。
直すと隣が壊れる 4 つ
もう 1 つ、要素をまたぐ危険があります。1 か所を正しく直すと、隣が誤りになる形です。記録から数えたら 4 つでした。
- 物語の装置(予告・白状・「題は嘘」)—— 1 文直すと数が動き、最終回に印字してある数が古くなる
- 次回予告 —— 次の回を直すと、予告が嘘になる
- 評価の数字 —— 本文を直すと、用語集や規模の数が動く
- 本の単位(「N 作目」を「第 N 部」と読み替える) —— 序文と本文が食い違う
1 だけは、自動テストが守っていました。装置の数を数えて、最終回の印字と突き合わせる 1 本が既にあります。
「破綻させてはいけない伏線が大量にあります」を、数えた
さきほどの発話の 4 行目です。「大量」とあったので、数えました。大量かどうかは、数えるまで分かりません。
[observed] 対象: 64 本
[observed] 振り回した装置: 予告 60 本 / 白状 10 箇所 / 「タイトルは嘘」3 本
73 でした。そしてこの 73 は、既に自動テストが守っています(上の 1)。
残りは 3 種類で、どれも人が見るしかありません。
- 前作を壊さないための約束が 4 つ —— 「親切に直す」と壊れます
- 「思っていました → 違いました」の形で置いた伏線が 7 箇所 —— 校正で「正しくは〜」に直すと、回収する対象が消えます
- 作をまたぐ布石 —— 数えていません。数え方が決まっていないからです
「大量」の中身を数えたら、いちばん量が多い種類(73)は既に守られていて、量の少ない側が人の担当でした。
だから、通読で持つ観点は 1 つだけにしました
私は、一覧を先に作りたくなります。「どの文が、どこで引かれているか」の表です。作りません。番外編 A-1 に書いたとおり、一覧の整理が本体を追い越すからです。
代わりに、私が通読 1 回に持つ観点は 1 つだけです —— 「この 1 文は、後の回が引いているか」。 引いている先が分からないときは、直しません。残す側に倒します。
「不適切な仕組みが混入していないか」を数えたら、数え方のほうが残っていなかった
同じ発話の 5 行目です。そして、その行はもう 1 文続いていました ——「破綻しない程度の実施が必要です。」
考えすぎない形にするのは、私の工夫ではありません。観点を 2 つに絞ったのは、この 1 文が先にあったからです。
- その仕組みは、足す前の 2 つ(真偽が決まるか / 何回起きたか)を満たしているか
- その仕組みは、いまも動いているか
2 は数えられます。記事が名指ししているファイルを拾って、実在するかを見るだけです。前の記録は、こう書いていました。
記事が名指ししたファイル 19 種 / 34 回 / 実在しない 4 種
数え直しました。
[observed] 走査した本文 87 本
[observed] 記事が名指ししたファイル 35 種 / のべ 90 回 / 実在しない 14 種
どれも合いません。種類が 19 と 35、のべが 34 と 90、実在しないものが 4 と 14 です。
同じ問いに、9 種と 35 種の 2 つが出ました
走査する範囲を、連載の本文だけに絞って数え直しました。
[observed] 連載のみ × scripts+hooks: 本文 65 本 / 9 種 / のべ 29 回 / 実在しない 5 種
同じ問いに、2 つの数が出ます。本文 87 本すべてでは 35 種、連載の本文 65 本に絞ると 9 種です(絞ったほうは、ファイルの種類も scripts と hooks に限っています)。前に書いた 19 種は、どちらとも合いません。
これは、この章がずっと言っていることそのものです。要素(連載の本文 / 巻末の付録)ごとに、名指しの数が違います。今回の数には、走査した範囲が書いてあります。前の数は、範囲を書いていません。だから、何を数えていないのかが分かりません。(No.31)
どう数えたのかが残っていないので、同じ数は二度と出せません —— C-1・C-2 と同じ形で、3 度目です。
混入は、0 件のままでした
実在しない 14 種の中身を、全部読みました。
- 読者が自分の環境に置く最小形の名前(本文が「こういう名前で置きます」と言っているもの)
- 不在を示すための例(「無いファイルを指すとどうなるか」の説明)
- 読者が実験用に作る、使い捨ての小さな仕組み(作り方が本文に書いてあります)
14 種とも、意図した不在でした。混入は 0 件です。
結論は変わりませんでした。変わったのは、その結論を支える数のほうです。「0 件」は同じでも、「9 種のうち 0 件」と「35 種のうち 0 件」では、言えることの広さが違います。
ただし、読者から見た問題は 1 つ残ります。本文が名指しした名前で探しても、そのファイルはそこにありません。名前が違うことは本文に書いてありますが、探す人は本文の途中から読みます。これは下の観点 2 で一緒に出ます —— 名指しされた名前を探しに行く動作が、同じだからです。
観点表を作るために引いた数を、全部当て直した
上の 1 件で、私は他の数も疑いました。この章の表は、既にある規約と自動テストから起こしています。その「既にある」の数を、全部走らせ直しました。
| 表に書いていた数 | 走らせて出た数 |
|---|---|
| 文章を見る自動テスト 17 本 | 20 本 |
| 検証手順を持つ記事 37 本(合格条件 30 / 見るところ 7) | 52 本(合格条件 45 / 見るところ 7) |
| 読み物の規約 27 条 | 26 節(番号は 34 まであり、9 つが欠番) |
[observed] 記事: 65 本 / 手順を持つ: 52 本(合格条件 45 / 見るところ 7)
[observed] 節の種類: lead 65 / steps 52 / mechanism 62 / caution 49 / stopped 51 / conclusion 5 / commentary 190 / teaser 60 —— 記事 65 本 / 見出し 409 個
最初、私はここに「3 つとも、性質が違います」と書きました。数え直したら、2 つは同じ性質でした。
- 17 → 20 は、割り方でした。当時のコードを数え直すと、記事を見る自動テストは 18 本あり、そこから 1 本(記事の中身ではなく、集計データが別の置き場に混ざっていないかを見るもの)を外すと 17。17 は、その時点では合っていた数です。私の 20 は、本を組む自動テストとその 1 本を足した数でした。その後に増えたのは 1 本だけで、しかも同じ日です
- 37 → 52 は、数える対象の取り違えです。37 は「3 作目の記事の数」で、検証手順の数ではありませんでした
- 27 → 26 は、割り方です。節そのものを数えると 26、章の見出しを足すと 27。どちらも間違いではありません。どちらで数えたかが書いていないことが問題です
1 つ目は、この章を書いている最中に踏み直したものです。私は最初「単純に古い数です(この 2 日で 3 本増えました)」と書きました。古いのかも、2 日なのかも、3 本なのかも確かめていません。 スクリプトが言うのは「合わない」までです。「なぜ合わないか」は、スクリプトが出しません。その空きを私が埋めるときに、いちばん推測が入ります。(No.29)
3 つ目は、C-2 の「1 つの地雷を 2 行に割るか 1 行にまとめるかで、内訳は動きます」と同じ形です。同じ形が、章をまたいで 2 回。
この章に、検証手順を置かない理由
前の 2 章には、検証手順を置きました。どちらも仕組みを作った回だからです。
この章は、仕組みを 1 つも作っていません。作ったのは観点表と、通読の観点 2 つです。どちらも、読んで分かるものです。
読んで分かることに検証手順を付けると、手順の数だけが増えます。本編で既に書いたことなので、ここでは繰り返しません。
この線引きも、私が決めたものではありませんでした。「要素ごとに、見るところが違う」に引いた発話の 2 行目が、そのまま線引きになっています ——「検証手順の型はあった方がいいですが、読んでわかることはしなくていいことは本編で説明済みです。番外編は実践応用になります。検証手順はその上で、必要なもののみとなります。」
だから番外編では、検証手順は「仕組みを作った回」にだけ置きます。この章は、その「必要なもののみ」に当たりません。
校正の順番 —— ここまでで決まった 4 手
要素ごとに観点が違うので、当てる順番も決まります。
- 仕組みで落とせるものを、先に全部落とす。落ちたものだけ直します
- 通読は 1 回。ただし、要素ごとの観点を持って読む。「1 度に 1 種類ずつ」ではありません —— 題を見るときは題の観点、予告を見るときは予告の観点、という意味です
- 直したら、隣の要素の数を走らせ直す。直したその場で走らせます(あとでまとめて、にすると数が動いた理由が分からなくなります)
- 置き場ごとの可否を、最後に見る。同じ文が、本編・番外編・紹介文で逆転します
通読 1 回に持つ観点は、結局 2 つだけになりました。
- この 1 文は、後の回が引いているか
- ここに書いてある仕組みは、足す前の 2 つを満たし、いまも動いているか
これ以上は増やしません。増やすほど、通読が点検になり、読者の側から離れます。
この番外編が言えないこと
⚠️ 正直に置いておきます。
- 要素の分け方は私が決めました。10 行の表ですが、分け方を変えれば行の数も、仕組みと人の割り振りも動きます。C-2 の「割り方で内訳が動く」がそのまま当てはまります
- 7 つのパターンは、指摘された分だけです。指摘されていない違反があるかどうかは、この数え方では分かりません
- 「混入 0 件」は、名指しされたファイルの実在だけを見た結果です。観点 1(足す前の 2 つを満たしているか)は、まだ数えていません —— 真偽が文脈で決まるので、通読でしか出ません
- 作をまたぐ布石は、数えていません。数え方が決まっていないからです。私は、決めていないことを「0 件」とは書けません
- なぜ 19 種と書いたのかは、この章に書いていません。記録に残っているのは、そのとき書いた数と、数え直した数の 2 つだけです —— そのあいだに何を数えたかは、どこにも残っていません
整理して残ったもの
- 同じ 1 文の可否が、置き場で逆転する。だから「文章に一様に当てる校正」は作れない
- コンセプト違反は、文の正しさではなく、読者に渡す順番の問題。7 つのパターンは 7 つとも人が見つけた
- 「大量にある」と言われたものは、数えると量の多い側が既に自動テストに守られていることがある。73 のうち 73 が自動テストの側だった
- 一覧を先に作らない。通読 1 回に持つ観点は 2 つまで
- 範囲を書かずに出した数は、要素をまたいだところで静かに変わる。私が数え直したら、同じ問いに 35 種と 9 種が出て、前に書いた 19 種はどちらとも合わなかった
- 結論が変わらなくても、母数が変われば言えることの広さが変わる。「0 件」は同じでも、9 分の 0 と 35 分の 0 は別のこと
- スクリプトが言うのは「合わない」まで。「なぜ合わないか」を埋めるところで、また推測が入る(この章で 1 回踏んだ)。数え方が書いていない数は、間違いではなく「再現できない数」 —— 割り方が 2 通りあるものは、どちらで数えたかを書く
- 足さない回があってよい。この章は自動テストを 1 本も置いていない