前の 2 章で、校正の方法に本編を当て(C-1)、見つかったものを機械と人に仕分けました(C-2)。どちらも、文章全体に一様に当てた点検です。

著者から来たのは、その「一様」への問いでした。

ストーリ、タイトル、次回予告、検証手順、評価、などなど、異なるコンセプト違反、異なる確認観点を当てないといけない場合がありそうですが、考慮されていますか?

⚠️⚠️ 考慮していませんでした。

先に結論を 3 つ置きます。

  • ⭐⭐⭐ 同じ 1 文の可否が、置き場で逆転します。連載の本編で必須のものが、番外編では禁止です。だから「文章に一様に当てる校正」は、そもそも作れません
  • ⚠️⚠️ 記録にあるコンセプト違反は 7 つの型に分かれ、7 つとも人が見つけていました。機械が見つけたものは 1 件もありません。⭐ 共通点は「文が間違っている」ではなく、「読者に渡す順番が壊れている」でした
  • ⚠️⚠️⚠️ そして、この観点表を作るために引いた数を当て直したら、4 つが再現しませんでした。いちばん大きく外していた 1 つは、要素をまたいだところで落ちていました —— 連載だけを数えて、巻末を数えていません。⚠️ 残り 3 つは、どう数えたかが書いていないだけでした

⚠️ この番外編にも次回予告がありません。理由は番外編 A・B・C-1・C-2 と同じです。 ⚠️ 検証手順もありません。理由は「この章に、検証手順を置かない理由」に書きます。

この章がやったこと —— 新しい検査を 1 本も置いていません

先に断っておきます。⭐ 前の 2 章は道具を 1 つ、検査を 1 本、仕組みを 1 つ置きました。この章は 0 です。

⚠️ 足さない側の回です。代わりに置いたのは、要素ごとの観点表と、通読 1 回で持つ観点 2 つだけです。理由は書きながら出てきます。

コンセプト違反は 7 つの型に分かれた —— 全部、人が見つけている

まず、これまでに指摘されたコンセプト違反を、記録から型に分けました。⚠️ 私が思い出したのではなく、指摘の原文を拾って分けたものです。

何が起きたか
a題で否定したことを、紹介文が打ち消していた
b物語の冒頭 2 行で、概要を説明していた
c主題文が、解決の形まで言っていた
d本編が否定したこと(覚えておく)を、読者にだけ要求していた
e読者を助けるつもりで置いた目印が、混乱のもとになっていた
f番外編で、本編の装置を使っていた
g序盤で、最終回の回収をばらしていた

⭐⭐ 7 つに共通するのは、文の正しさではありません。どれも文としては正しく、事実も合っています。⚠️⚠️ 壊れているのは、読者に渡す順番と位置です。

⭐⭐⭐ だから、字句の校正でも、整合の検査でも出ません。この 7 つは、7 つとも人(著者)が読んで見つけたものです。

要素ごとに、見るところが違う

そのうえで、文章を要素に分けて、要素ごとに「何を見るか」「誰が見るか」を並べました。

要素見るところ機械
型 / 言い切ったものを打ち消していないか✅ 型は数えられる⚠️ 打ち消し(a)
導入・主題文答えを先に言わない / 圧縮しない / 「誰が」を書く✅ 主題文の形⚠️ 解決の形(b・c)
連載の物語振り回した装置の数が、最終回の印字と合うか数は機械⚠️ 回収と合っているか(f・g)
次回予告症状 1 文で終える / 予告した症状が次の回と合う✅ 形だけ⚠️⚠️ 中身(改稿で嘘になる)
本文の型節の種類が揃う / 言い切りが「言えないこと」を超えない✅ 種類の数⚠️ 言い切りの範囲
検証手順並び / 前提なしで踏めるか / 数字の出どころ✅ 並び⚠️⚠️ 踏めるか
評価数字と母数がそろっているか / 評価の言葉が数字より強くないか✅ 数の追随⚠️⚠️ 言葉の強さ
用語内輪の言い方 / 初出の説明✅ 語の一覧⚠️ 説明が要る語か
前作参照・リンク名指しと URL が同じ回か / リンクが解けるか✅ ほぼ機械⚠️ 繰り返しの書き方
面(配布先ごと)はみ出さないか / 扱えない記法✅ 機械⚠️ 余白と改行

右 2 列を見ると、C-2 の仕分けが要素ごとにもう一度出てきます —— 数えられるものは機械、範囲と強さは人

いちばん危ないのは、置き場で可否が逆転する要素

⚠️⚠️ 表の中で、性質が違う行があります。

  • 連載の本編では、次回予告は必須です
  • 番外編では、次回予告は禁止です
  • 紹介用の文では、答えを出すこと自体が禁止です

⭐⭐⭐ つまり、同じ 1 文が、置き場によって「必須」「禁止」に分かれます。⚠️ 文だけを見て正誤が決まりません。

これが「一様な校正」が作れない理由です。そして、上の 7 つの型のうち f(番外編で本編の装置を使う)は、まさにこれを踏んだものでした。

直すと隣が壊れる 4 つ

もう 1 つ、要素をまたぐ危険があります。⚠️⚠️ 1 か所を正しく直すと、隣が誤りになる形です。記録から数えたら 4 つでした。

  1. 物語の装置(予告・白状・「題は嘘」)—— 1 文直すと数が動き、最終回に印字してある数が古くなる
  2. 次回予告 —— 次の回を直すと、予告が嘘になる
  3. 評価の数字 —— 本文を直すと、用語集や規模の数が動く
  4. 本の単位(「N 作目」を「第 N 部」と読み替える) —— 序文と本文が食い違う

1 だけは、機械が守っていました。装置の数を数えて、最終回の印字と突き合わせる検査が既にあります。

「破綻させてはいけない伏線が大量にあります」を、数えた

著者の言葉に「大量」とあったので、数えました。⚠️ 大量かどうかは、数えるまで分かりません。

[observed] 対象: 64 本
[observed] 振り回した装置: 予告 60 本 / 白状 10 箇所 / 「タイトルは嘘」3 本

73 でした。そしてこの 73 は、既に機械が守っています(上の 1)。

⚠️⚠️ 残りは 3 種類で、どれも人が見るしかありません。

  • 前作を壊さないための約束が 4 つ —— 「親切に直す」と壊れます
  • 「思っていました → 違いました」の形で置いた伏線が 7 箇所 —— 校正で「正しくは〜」に直すと、回収する対象が消えます
  • 作をまたぐ布石 —— ⚠️ 数えていません。数え方が決まっていないからです

⭐⭐ 「大量」の中身を数えたら、いちばん量が多い種類(73)は既に守られていて、量の少ない側が人の担当でした。⚠️ 数える前は、逆の印象を持っていました。

だから、通読で持つ観点は 1 つだけにしました

⚠️⚠️ 一覧を先に作りたくなります。「どの文が、どこで引かれているか」の表です。⭐ 作りません。番外編 A-1 に書いたとおり、一覧の整理が本体を追い越すからです。

⭐⭐⭐ 代わりに、通読 1 回に観点を 1 つだけ持ちます —— 「この 1 文は、後の回が引いているか」。 ⚠️ 引いている先が分からないときは、直しません。残す側に倒します。

「不適切な仕組みが混入していないか」を数えたら、数え方のほうが落ちていた

著者の言葉には、もう 1 つありました。「不適切なルール、仕組みが混入されている可能性もあります。通読して見つけていくことも重要です。ただし、ここを考えすぎるといけません。」

考えすぎない形にするために、観点を 2 つに絞りました。

  1. その仕組みは、足す前の 2 つ(真偽が決まるか / 何回起きたか)を満たしているか
  2. その仕組みは、いまも動いているか

2 は数えられます。記事が名指ししているファイルを拾って、実在するかを見るだけです。前の記録には、こう書いてありました。

記事が名指ししたファイル 19 種 / 34 回 / 実在しない 4 種

数え直しました。

[observed] 走査した本文 87 本
[observed] 記事が名指ししたファイル 35 種 / のべ 90 回 / 実在しない 14 種

⚠️⚠️⚠️ どれも合いません。種類が 19 と 35、のべが 34 と 90、実在しないものが 4 と 14 です。

落ちていたのは、要素をまたいだところでした

数え方を変えて、前の数に近づけてみました。

[observed] 連載のみ × scripts+hooks: 本文 65 本 / 9 種 / のべ 29 回 / 実在しない 5 種

⭐⭐⭐ 原因が見えます。前の数は、連載の本文だけを見ていました。巻末の付録は数えていません。⚠️ そして、名指しがいちばん多いのは巻末の付録のほうでした(読者が自分の環境に置く手順が書いてあるので、当然です)。

⚠️⚠️ これは、この章がずっと言っていることそのものです。要素(連載の本文 / 巻末の付録)ごとに性質が違うのに、一様に、片方だけを数えていました。

⚠️ それでも 9 と 19 は合いません。どう数えたのかが残っていないので、同じ数は二度と出せません —— C-1・C-2 と同じ形で、3 度目です。

混入は、0 件のままでした

実在しない 14 種の中身を全部開きました。

  • 読者が自分の環境に置く最小形の名前(本文が「こういう名前で置きます」と言っているもの)
  • 不在を示すための例(「無いファイルを指すとどうなるか」の説明)
  • 読者が実験用に作る、使い捨ての小さな仕組み(作り方が本文に書いてあります)

⚠️⚠️ 14 種とも、意図した不在でした。混入は 0 件です。

⭐⭐ 結論は変わりませんでした。変わったのは、その結論を支える数のほうです。⚠️ 「0 件」は同じでも、「9 種のうち 0 件」と「35 種のうち 0 件」では、言えることの広さが違います。

⚠️ ただし、読者から見た問題は 1 つ残ります。本文が名指しした名前で探しても、実物はそこにありません。名前が違うことは本文に書いてありますが、探す人は本文の途中から読みます。これは通読の観点に入れました。

観点表を作るために引いた数を、全部当て直した

⚠️⚠️ 上の 1 件で、他の数も疑うことになりました。この章の表は、既にある規約と検査から起こしています。その「既にある」の数を、全部走らせ直しました。

表に書いていた数走らせて出た数
文章を見る検査 17 本20 本
検証手順を持つ記事 37 本(合格条件 30 / 見るところ 7)52 本(合格条件 45 / 見るところ 7)
読み物の規約 27 条26 節(⚠️ 番号は 34 まであり、9 つが欠番)
[observed] 記事: 65 本 / 手順を持つ: 52 本(合格条件 45 / 見るところ 7)
[observed] 節の種類: lead 65 / steps 52 / mechanism 62 / caution 49 / stopped 51 / conclusion 5 / commentary 190 / teaser 60 —— 記事 65 本 / 見出し 409 個

⚠️⚠️ 最初、私はここに「3 つとも性質が違う」と書きました。数え直したら、2 つは同じ性質でした。

  • 17 → 20 は、割り方でした。当時の実物を数え直すと、記事を見る検査は 18 本あり、そこから 1 本(記事の中身ではなく、扱う軸の一覧を見るもの)を外すと 17。⭐ 17 は、その時点では合っていた数です。私の 20 は、本を組む検査とその 1 本を足した数でした。⚠️⚠️ その後に増えたのは 1 本だけで、しかも同じ日です
  • 37 → 52 は、数える対象の取り違えです。37 は「3 作目の記事の数」で、検証手順の数ではありませんでした
  • 27 → 26 は、割り方です。節そのものを数えると 26、章の見出しを足すと 27。⚠️ どちらも間違いではありません。どちらで数えたかが書いていないことが問題です

⚠️⚠️⚠️ 1 つ目は、この章を書いている最中に踏み直したものです。私は最初「単純に古い数です。2 日で 3 本増えました」と書きました。古いのかも、2 日なのかも、3 本なのかも確かめていません。 ⭐⭐⭐ 道具は「合わない」までしか言いません。「なぜ合わないか」は言いません。⚠️ その空きを埋めるときが、いちばん推測が入ります。

⚠️⚠️ 3 つ目は、C-2 の「1 つの地雷を 2 行に割るか 1 行にまとめるかで内訳が動く」と同じ形です。同じ形が、章をまたいで 2 回。

この章に、検証手順を置かない理由

⭐ 前の 2 章には、検証手順を置きました。どちらも仕組みを作った回だからです。

⚠️ この章は、仕組みを 1 つも作っていません。作ったのは観点表と、通読の観点 2 つです。⭐ どちらも、読んで分かるものです。

⚠️⚠️ 読んで分かることに検証手順を付けると、手順の数だけが増えます。本編で既に書いたことなので、ここでは繰り返しません。番外編は実践なので、検証手順は「仕組みを作った回」にだけ置きます。

校正の順番 —— ここまでで決まった 4 手

⭐ 要素ごとに観点が違うので、当てる順番も決まります。

  1. 機械で落とせるものを、先に全部落とす。⚠️ 落ちたものだけ直します
  2. 通読は 1 回。ただし、要素ごとの観点を持って読む。⚠️⚠️ 「1 回に 1 種類ずつ」ではありません —— 題を見るときは題の観点、予告を見るときは予告の観点、という意味です
  3. 直したら、隣の要素の数を走らせ直す。直したその場で走らせます(あとでまとめて、にすると数が動いた理由が分からなくなります)
  4. 置き場ごとの可否を、最後に見る。⚠️ 同じ文が、本編・番外編・紹介文で逆転します

⭐⭐ 通読 1 回に持つ観点は、結局 2 つだけになりました。

  • この 1 文は、後の回が引いているか
  • ここに書いてある仕組みは、足す前の 2 つを満たし、いまも動いているか

⚠️ これ以上は増やしません。増やすほど、通読が点検になり、読者の側から離れます。

この番外編が言えないこと

⚠️ 正直に置いておきます。

  • ⚠️⚠️ 要素の分け方は私が決めました。10 行の表ですが、分け方を変えれば行の数も、機械と人の割り振りも動きます。C-2 の「割り方で内訳が動く」がそのまま当てはまります
  • ⚠️ 7 つの型は、指摘された分だけです。指摘されていない違反があるかどうかは、この数え方では分かりません
  • ⚠️⚠️ 「混入 0 件」は、名指しされたファイルの実在だけを見た結果です。観点 1(足す前の 2 つを満たしているか)は、まだ数えていません —— 真偽が文脈で決まるので、通読でしか出ません
  • ⚠️ 作をまたぐ布石は、数えていません。数え方が決まっていないからです。決めていないことを「0 件」とは書けません

整理して残ったもの

  • ⭐⭐⭐ 同じ 1 文の可否が、置き場で逆転する。だから「文章に一様に当てる校正」は作れない
  • ⚠️⚠️ コンセプト違反は、文の正しさではなく、読者に渡す順番の問題。7 つの型は 7 つとも人が見つけた
  • ⭐⭐ 「大量にある」と思ったものは、数えると量の多い側が既に機械に守られていることがある。73 のうち 73 が機械の側だった
  • ⚠️ 一覧を先に作らない。通読 1 回に持つ観点は 2 つまで
  • ⚠️⚠️⚠️ 一様に数えると、要素をまたいだところで静かに落ちる。連載だけを数えて巻末を数えず、35 種を 19 種と書いていた
  • 結論が変わらなくても、母数が変われば言えることの広さが変わる。「0 件」は同じでも、9 分の 0 と 35 分の 0 は別のこと
  • ⭐⭐⭐ 道具が言うのは「合わない」まで。「なぜ合わないか」を埋めるところで、また推測が入る(この章で 1 回踏んだ)。⚠️⚠️ 数え方が書いていない数は、間違いではなく「再現できない数」 —— 割り方が 2 通りあるものは、どちらで数えたかを書く
  • ⚠️ 足さない回があってよい。この章は検査を 1 本も置いていない