私は AI の出力を、もうほとんど読んでいません。AI の提案も、もうほとんど検討していません。AI に指示することも、ほとんどなくなりました。それで品質が落ちたかというと、落ちていません。この本は、その状態を仕組み一つずつで作っていった 3 つの連載を、1 冊に収めたものです。
3 つの連載は、順に書きました。書き終えてから並べてみると、減らしたものが 1 つずつ違っていました。
- 第 1 部「読まない技術」: AI の出力を、読まなくて済む形にする
- 第 2 部「AIの意見を聞かない技術」: AI の提案・判断を、二度検討しなくて済む形にする
- 第 3 部「言わない技術」: 人間の入力を、言わなくて済む形にする
やることは 3 部とも同じです。ルールから仕組みへ。扱うものが、出力、判断、入力と一つずつ上がるだけです。
この本の読み方
各章は独立しています。ファイルやスクリプトを一つ置けば、その章は完結します。多くの章の冒頭に、自分の環境で症状を確かめる操作を一つ置いてあるので、症状が出ている章から拾ってください。症状が出ていない章も、読む値打ちは変わりません。各章が渡すのは仕組みの置き方で、症状の大きさは環境で変わっても、置き方は変わらないからです。
順に読むなら第 1 部からですが、要件ではありません。第 2 部と第 3 部の各章は、冒頭に「第 1 部の第 6 回で、〜と書きました」の形で前の部の要点を 1 行置いてあるので、そこだけ読めば入れます。
3 つの連載を 3 つの部に収めたので、本文の中の「この連載」は、その部のことです。
舞台
舞台は 3 部とも同じです。私の手元の本番プロジェクト——typingtube という、YouTube の音楽動画でタイピング練習ができる Web サービスです。個人で運営していて、本番で動いています。本文に出てくる数字と実物は、全部このプロジェクトのものです。
先に一つ断っておきます。これは 1 人の現場の記録です。 複数人のチームでは、計画もレビューも他人に向けた通信なので、自動テストに置き換えられない部分が残ります。チーム向けに書いた回は、第 1 部の序論の一覧にそう添えてあります。
道具は Claude Code です。多くの章で、AI のコマンド実行に割り込む hook を使いますが、使っているツールになければ作ればいい。要るのは「読んでいなければ動けない構造」で、hook はその実装手段の一つにすぎません。
本文は、本の外でも読めます
本文の 37 本は、Zenn の連載記事と、typingtube のサイト内でも読めます。背景技術を体系的に確かめる付録と、この「はじめに」も、サイト内で読めます。本だけにあるのは、3 つを通して読める並びです。
付録の使い方
本文の 37 本は「置くのは 1 つ」で通しました。置いたものの下で何が動いているかは、ほとんど説明していません。付録は、その下の仕組みを説明する章です。本文を読み終えた、上級の技術者に向けて書きました。技術用語は噛み砕かずにそのまま使い、各章の末尾に、手元で確かめるための検証手順を置いてあります。
入口は「あとがき」です。付録の構成と、書き方の約束をそこに置きました。順に読む必要はありません。本文で気になった仕組みの章から開いてください。
目次
| 部 | 章 | 序論の 1 行目 |
|---|---|---|
| 第 1 部 読まない技術 | 序論・第 1〜12 回・最終回 | 私は AI の出力を、もうほとんど読んでいません。 |
| 第 2 部 AIの意見を聞かない技術 | 序論・第 1〜8 回・最終回 | 私は AI の提案を、もうほとんど検討していません。 |
| 第 3 部 言わない技術 | 序論・第 1〜11 回・最終回 | 私が AI に指示することは、ほとんどなくなりました。 |
| 付録 背景技術 | あとがき・A〜J・結び | — |
各部の章は、部の中で番号順に並んでいます。
まずは、第 1 部の序論からどうぞ。