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title: "動かさない技術 序論：確かめるために、プロダクトを動かすことがなくなった"
author: garplab
publisher: TypingTube
license: All rights reserved
license_scope: 記事の全体（序論・最終回は CC BY 4.0 の対象外）。引用は法の範囲で自由
canonical: https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-intro
series: "動かさない技術"
language: ja
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私はもう、確かめるためにプロダクトを動かしません。テストを走らせて直すのも、画面を開いて確かめるのも、本番で起きたことから学ぶのも。代わりに、答えの分かっている問題を作っています。このシリーズは、前の 4 作で「こうすれば効く」と書いてきたことを、実験ひとつずつで測り直していく連載です。

先に、読み方を書いておきます。**この連載は、読むだけで追えます**。各回は、現場で何が起きたかから始まり、何を置いて、何がなくなったかまで続きます。各回の終盤に「実験手順」という節がありますが、**読み飛ばして構いません**。自分の環境で試したくなったときに、戻ってくれば足ります。

まず一つだけ、思い出してみてください。AI の使い方について、あなたが「こうすると効く」と信じていることを 1 つです。指示ファイルの書き方でも、頼み方でも構いません。**それを最後に確かめたのはいつで、そのとき何回ぶんの結果を数えましたか。**

**まだ AI と一緒に開発していないなら、信じていることが無くて当然です。**この連載は、私が 4 作で「効く」と書いてきたことを測り直す記録なので、そのまま読めます。

## 4 作 44 本の根拠は、ほとんど私の実感です

この連載は 5 作目です。

- 1 作目「[読まない技術](https://typing-tube.net/articles/34b02627c718fa)」: AI の**出力**を、読まなくて済む形にした
- 2 作目「[AIの意見を聞かない技術](https://typing-tube.net/articles/kikanai-intro)」: AI の**提案・判断**を、二度検討しなくて済む形にした
- 3 作目「[言わない技術](https://typing-tube.net/articles/iwanai-intro)」: 人間の**入力**を、言わなくて済む形にした
- 4 作目「確かめない技術」: **確認そのもの**を、その場で決めなくて済む形にした
- 5 作目（本書）: **その 4 作が本当に効いていたのかを測る**

44 本は全部、1 つの本番プロダクトで起きたことから書きました。[typingtube](https://typingtube.net) という、YouTube の音楽動画でタイピング練習ができる Web サービスです。個人で運営していて、いまも動いています。

その書き方には、44 本ぜんぶに共通する穴がありました。**仕組みを置いて、そのあと調子が良かった。それが根拠です。** 置いた日と置かなかった日を比べたわけではありません。比べようもありませんでした —— 本番は 1 つしかなく、時間は巻き戻らないからです。⚠️ **44 本のどれも、数えられたのは 1 回きりの出来事です。**

だから、書いてきたことのうち何が本当なのかを、私は知りません。効いていたのかもしれないし、置かなくても同じだったのかもしれない。**どちらなのかを、本番を動かしている限り一生確かめられない** —— それが、この連載の出発点です。

## 動かさないのは、プロダクトのほうです

題は「動かさない技術」ですが、何も実行しない机上の話ではありません。⚠️ この連載は、前の 4 作より**多く**実行します（毎回、AI の作業者を何体も走らせます）。動かさなくなったのは、**何かを知るためにプロダクトを動かすこと**のほうです。

前の 4 作が動かさなくなったものを、並べてみます。画面を開いて回るのをやめた。画面の撮影と、ひととおり動かす確認をやめた。テストの再実行をやめた。テストの 2 本目を並べて走らせるのをやめた。重い E2E を全部走らせるのをやめた。⭐ **5 つとも、目の前の作業がちゃんとできているかを確かめるための実行**です。手段・回数・範囲・本数を、一つずつ削ってきました。

残っていたのは、**知るための実行**です。プロダクトを動かして、起きたことから学ぶ。⭐ **根拠そのものの作り方**なので、ここだけは 4 作を通して一度も手放していませんでした。

3 作目の[最終回](https://typing-tube.net/articles/iwanai-finale)の題は「何もしない技術」でした。⚠️ あれは**人間が作業に介入しない**という話で、今回とは、やめる対象が違います。今回は介入します。むしろ実験のたびに、こちらから手を出します。動かさないのは、**何かを知るための道具としてのプロダクト**だけです。

代わりに使うのは、**答えが先に分かっている問題**です。たとえばログを模したファイルを 12 本置いて、そこから拾うべき値を機械に決めさせます。⚠️ **その正解表は、作業者に渡すディレクトリの外に置きます**（人が後から作ると、返ってきた答えのほうに引きずられるからです）。同じ課題を、条件を 1 つだけ変えて、会話を引き継がない AI の作業者に何体か渡す。返ってきたものを正解表と突き合わせる。⭐ **そこには、私の実感が入り込む隙がありません。**

## 渡すのは、走らせれば分かるスクリプト 1 本です

前の 4 作は、各回で「置けば効くファイル 1 枚」を渡していました。hook、ラッパー、指示文。読者の持ち帰りはそれでした。

この連載に、置くものはありません。代わりに渡すのは**測り方**です。各回の終わりに、私が使った題材の作り方と、条件の変え方と、数え方を置きます。**あなたの環境で、同じ数字が出るかどうかを、あなたが確かめられます。**

> **私の数字は、走らせるだけで確かめられます。信じるかどうかを決めるのは、そのあとで間に合います。**

1 作目の序論で「仕組みは置くだけで効きます。理解は、使い始めてからで間に合います」と書いた、その裏返しです。あちらは中身を読まずに置ける約束でした。こちらは、**中身を信じないまま走らせられる**約束です。

各回は、1 つの思い込み・1 つの測り方・1 つの実験手順でできています。思い込みは、たいてい公式ドキュメントの記述か、広く勧められている作法です。それを仮説として立て、実験でぶつけて、出た数字を書く。⚠️ **仮説を紹介して終わる回は、入れていません。**

## 外れた回も、そのまま入れてあります

一つ断っておくことがあります。**測ってみたら効いていなかった、という結果が出た回があります。** 落としていません。落とすなら、それは実験ではなく演出です。

外れ方も 1 種類ではありませんでした。私の予想と逆に出た回、条件をまたいで差がまったく出なかった回、**測ろうとしたものが実験の設計ごと間違っていて、1 回目をやり直した回**もあります。どれも、そう書いてあります。

そして、**言えないことも各回の終わりに並べます**。母数がいくつなのか、何と何が分けられていないのか、どの数字がモデルの世代で動くのか。⚠️ 全体に効く注意を先に 1 つ書いておくと、**この連載の数字は、1 つのモデルの、ある時点の測定です。** 数字そのものを持ち帰ってもらうつもりで書いてはいません。持ち帰るのは、各回が終わりに 1 つだけ置く「理解したことは一文」のほうです。

⚠️ もう一つ。前の 4 作を読んでいなくても入れます —— 各回の冒頭に、前作で書いたことを 1 行だけ置くので、そこだけ読めば足ります。ただし、**この連載は仕組みを置き終えた人の話**です。まだ置いていないなら、1 作目から読むほうが早い。

## シリーズの構成

前半の 4 本は、**指示ファイルに書いた行が、書いた側の思ったようには効かない**という話です。どこまで効いて、どこから効かなくなるのかを測ります。

- [第 1 回 手順を守らせない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-01-no-procedure-enforcement)
- [第 2 回 ラッパーを使わせない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-02-no-wrapper-enforcement)
- [第 3 回 集めない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-03-no-aggregation)
- [第 4 回 役に立たない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-04-no-conditional-instruction)

中盤の 3 本は、**答えを決めているのが指示の中身ではなく、その場の頼み方と会話の長さのほうだ**という話です。同じことを頼んでいるのに、一文の違いと、往復の数で結果が変わります。

- [第 5 回 選び直させない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-05-no-reselection)
- [第 6 回 逃げ道を塞がない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-06-no-blocking-exits)
- [第 7 回 セッションを続けない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-07-no-long-sessions)

終盤の 2 本は、**終わったあとに残るものだけを見ていると、見えない**という話です。出来上がったファイルと、次の人へ渡す申し送りを扱います。

- [第 8 回 成果物で判断しない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-08-no-artifact-judgment)
- [第 9 回 知見を残さない技術](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-09-no-knowledge-notes)

[最終回](https://typing-tube.net/articles/ugokasanai-finale)で、9 回の結果を組み合わせます。**組み合わせると、まだ測っていないことにも答えが出ます。**

順に読む必要はありません。ただし第 9 回は第 8 回を受けているので、その 2 本だけは順に読んでください。

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次回は「手順を守らせない技術」。**私は、AI に守られなかった指示を書き直すのをやめました。**それでも、その指示は守られるようになりました。
